連載
UAではたらくヒト
ユナイテッドアローズで働く30名のスタッフを迎え、入社1年目の方から順にインタビュー。感謝の気持ちを感じた瞬間と伝えたいヒト。そして後輩からの質問にお答えいただきつつ、1年上の先輩にも質問していただくリレー方式でお届けします。
Photo:Mitsugu Uehara
篠田 和彦
第一事業本部 メンズ商品部 商品1課
入社26年目 田島 文子さんより質問
篠田さんは、私が入社し販売員としてのキャリアをスタートさせたユナイテッドアローズ 渋谷店での最初の先輩のひとりで、異性ながらファッションや服のおもしろさをいろいろと教えていただいた方でした。いまでも当時の感覚をお持ちのまま、幅広い年齢層のお客様へ向けたご提案をしていらっしゃると思いますが、どのようにアンテナを張って、どのように時代の気分をキャッチしているのですか? あと、ファッションに対する情熱の源は?
「情報の無い時代に育っているので、掘り下げて調べる気質は備わっていました。当時は映画や音楽からミュージシャン、俳優さん、監督さんの服装や背景を興味の赴くままに調べて引き出しに蓄えていきました。その視点で興味の対象がマイナーなものからメジャーなものに広がって、皆さんがよく観るテレビ番組やヒット曲、流行っているものをフォローしていくうちに、いまどんな感じでどこに向かうのかを感じるようになってきました。いろんなジャンルのライブでみるファンの方々の服装やスタイルにも興味津々です。そして、『これを着たい。着てみたい』という気持ちは未だになくなりませんので、これなんだと思います。新しいものを着て新鮮に感じる気持ちや、『これを合わせてみたい』『この雰囲気に着てみよう』など、いろいろトライもしたくなります。旅のときは如何に現地の人っぽくなるかも愉しみですし、コスプレ気質もあるのではないかと思います」
ユナイテッドアローズで働いてきた27年間のなかで、篠田さんがいちばん感謝の気持ちを感じた出来事は?
「ユナイテッドアローズに入社したことです。入社当時はこの世界に入れて“うれしい”の気持ちでしたが、いま振り返ると販売員から店長を経てモノづくりをさせていただき、お客様をはじめ、さまざまな方と出会い、たくさんの経験をさせてもらいました。そして、素晴らしい先輩方や同僚、後輩たちと一緒にかけがえのない時間を過ごさせていただいて、いまは“感謝”という気持ちを実感しています。そのきっかけを与えてくれたのは栗野さん(現:上級顧問 クリエイティブディレクション担当)。私が18歳の時から接客をしていただき、いままでとは違う人間関係があるという事を教えていただきました。それがいまの私になるきっかけです」
いまいちばん「ありがとうございます」という言葉を伝えたい人は?
「故人になりましたが、母親です。小さい頃からよく笑い顔が似ていると言われていました。とてもよく笑いかけてくれて、私の笑顔をつくってくれたのは母親だと思っています。『自分が笑いかけることで相手も笑顔になる』という、とてもシンプルで大切なコミュニケーションを教えてもらいました。そのおかげか、販売員時代もよく顔を覚えていただきました。また、母方の祖父がとてもお洒落な方だったようで、よく似ているとも話を聞いたことがあります。そのように見ていてくれたのもあってか、母親は口には出しませんでしたが、私がこの仕事をするのを応援してくれていたと思います。晩年、母親に笑顔でいてもらうことだけを考えていたので、介護も苦ではありませんでした。少しは返せていたらと思います」
PROFILE
篠田 和彦
第一事業本部 メンズ商品部 商品1課
総合病院の臨床検査技師を経て、1992年にユナイテッドアローズ入社。販売員店長の後、ディストリクト店長期間に商品部に異動。現在はディストリクトのオリジナル企画を担当。