ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

連載

UAにまつわるモノ

ユナイテッドアローズのスタッフ、また所縁のある方々に、“UAにまつわる思い出の一品”を紹介していただきます。第14回は、レピドス・ディレクターの征矢 まり子さんです。

Photo : Yohei Miyamoto

VOL.14

Apoenaのドリームドレス

Lepidos, WOMENS

子供たちの夢の結晶。

「2008年の初出張時に買い付けたブラジルブランドのドレス。それだけでも十分記憶に残るものなのですが、実はこれ、現地の子供たちが刺繍した15~20cm角の布がつなぎ合わせられて一着のドレスになっているんです。もともと〈アポエナ〉というブランドは、刺繍やパッチワークの手作業を経済的に不況なエリアの女性たちと共に行なうことで、ファッションを通じて雇用を生み、ブラジルの社会問題に向き合っていました。また、その活動を継続することで将来的に子供たちのために学校を創ることを目的としていました。そうした貧しい地域に暮らす子供たちが自分の好きなものや将来の夢を思い思いに刺繍で描いたもの、それらをつなぎ合わせて作られたのが、このドリームドレスでした。商品としては精密にデザインされたものではないし、高度な技術が使われているわけでもない。それでもこのドレスからは、愛や幸福感がダイレクトに伝わってきて、とてもワクワクさせられたんです。まさに一目惚れ。『私はワクワクするけれど、お客様はどうだろう? このブランドのコンセプトやたっぷりの愛情をうまく伝えられるかしら?』など、ぐるぐる考えたりしたのですが、結局買わずにはいられず、『きっと私と同じように感じる方はいるはず!』と信じて買い付けました。帰国後、尊敬する先輩バイヤーの方に、『とても素敵なものを見つけてきたね』と言われたこともうれしかったですし、実際に店頭で販売され、次々と売れていく様子を見て、『あのとき感じた想いは間違っていなかったんだなぁ』と、ホッとした記憶があります。当時の私はまだ作り手としてもバイヤーとしても未熟で、右も左もわからないながらもなんとか一歩を踏み出せたような気がした、そんな記憶に残る経験のひとつです」

PROFILE

征矢 まり子

レピドス・ディレクター

2001年入社。バイヤーのアシスタント業務を経験したのち、2006年に応募した社内ラボをきっかけに〈レピドス〉を立ち上げる。ディレクターとして、商品の企画、デザイン、バイイングまで担当する。

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