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  • ヒト HITO
  • 共にバイヤーを志す二人。見て感じたパリを振り返る。
  • 2019.03.20 WEDNESDAY

去る1月某日。ユナイテッドアローズの各レーベルのバイヤー陣が、次シーズンの買い付けのため一斉にパリへと向かいました。そこに同行する若人が二人。彼らはそれぞれがお店で働くスタッフで、共にバイヤーを志しているという共通点があります。二人はどんな目的でパリを目指し、そこで何を体験してきたのか? この“同行旅”について、彼らに振り返ってもらいました。

Photo_Yukari Isa
Text_Masaki Hirano

パリで体感したことで自分のなかで答え合わせができた。

―吉岡さんはユナイテッドアローズの原宿本店に勤務されていると伺いました。どのような業務を担当されているんですか?

吉岡:1階フロアのユナイテッドアローズ&サンズを担当しています。商品を売り場に陳列したり、その戦略を考えたり。店舗PRも担当しているので、インスタグラムの投稿なども自分がやっています。

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ー今回の買い付けに同行した経緯を教えてください。

吉岡:バイヤーを目指すスタッフが自主的に買い付けに同行するというケースが以前からあって、僕も近い将来、バイヤーになりたいと思っているので、今回の買い付けに参加させてもらいました。ただ、そもそもバイヤーの仕事とはどんなものなのか、明確には理解していなかったんです。まずは具体的な業務を知るために近くで仕事を見たいと思いました。もうひとつ理由があって、学生時代は年に一回は海外に一人旅に出かけていて、いろんな場所でいろんなものを見聞きしていました。その経験がきっかけで、物事の見方や考え方が変わったんですね。最近、日々の業務をこなしながら、なんとなく視野が狭くなっているというか、自分のなかの世界が小さくなってしまっているような気がしてたんです。そういった現状を打破するためにも、違う国で違う文化に直接触れたいと思いました。

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ユナイテッドアローズ&サンズのバイヤー増田さんと共にショールームを回る。お店からの要望などを吉岡さんから伝える場面も。

―同行するのは前々から計画していたんですか?

吉岡:タイミングが合えば行きたいとは思っていました。ただ、海外出張に行くということは、どういう形であれお店を代表していくということなので、正直、怖さも感じていたんです。自分はバイヤーの皆さんの戦力になるのか? それどころか、ついていくことで迷惑をかけてしまうんじゃないか? そう思うとなかなか決められず、結局、飛行機のチケットを取ったのは出発の一週間前。ギリギリのタイミングになってしまいました。

ー実際にバイヤーたちと一緒にパリを回ってみて、どんなことを感じましたか?

吉岡:デザイナーさんに会ったり、そのブランドのアイテムを一通り見たり、ランウェイショーを見ることで、ブランドの全体像が見えた気がしました。普段、売り場にある商品を見て、お客様にお話をしていたんだなあと。それだと本当の良さは伝わらないですよね? 想像や情報だけで伝えていたことの、本質的な部分が知れたことで、今まで以上に、質の高い接客ができると思いました。日頃から意識して大事にしているのが、“しっかりと伝える”ということなんですが、自分で見て聞いてきたことだからこそ、経験談として深く話すことができる。例えばそれがお客様だけではなく、同僚のスタッフたちにも共有できると思うんです。そうすることで、お店全体が潤うというか、良い方向に進んでいける。そんなことをもっとできたら良いなと改めて感じました。

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―買い付けに同行したことで、いちばんの収穫はどんなことだと思いますか?

吉岡:いろいろ経験できたことで、「あ~やっぱりこうだったんだ!」 というように、答え合わせができたことです。お店にいるだけでも、ネットなどを使って調べればすぐに何でもわかるんですが、それは本質的な理解ではないと。自分で体験できたということがいちばんよかったと思います。パリから戻ってからは、常に半歩先のことを意識するようになりました。自分が着る服を選ぶのも、お客様と接するのもそうなんですが、向こうで見たものは、次のシーズンのコレクションだったり、少し先のことが多くて、何と言うか未来にいるような感覚でした。その感覚を大切にしながら、お客様に対して提案型の対応をすることが多くなったような気がします。

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吉岡さんの接客時の必需品は、スマートフォン、メジャー、愛用のペン。スマホは普段から貯めているスタイリング写真などを、お客様に見せながら接客するときに使うそうだ。メジャーとペンは、しっかりとしたサイジングのためになくてはならないもの。常にベストなものを提供するためには、手放せないアイテムだという。

ーつまりパリでの経験が良い方向に活かされているわけですね。

吉岡:はい。本当にそう思います。パリで見てきたブランドの商品をお勧めするときは、やっぱり臨場感やリアリティが出るので、そういった意味でも経験は活かされています。しかも嬉しいことに、今回の出張をきっかけに自分に興味を持ってくださったお客様がいたりもするんです。こういった良い空気感を、自分だけではなくお店のメンバー全員に浸透させられるように、常日頃から努力して行きたいと思っています。


接客を通してお客様に感動してもらいたい。

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ー神村さんはビューティ&ユース熊本店のスタッフですが、いわゆる地方店のスタッフが出張同行するというのは珍しいのでは?

神村:おっしゃる通りです。皆さんから前例がない! と言われました(笑)。今年で入社7年目なんですが、入ったときからバイヤーをやりたいと思っていまして、懇親会などで、現バイヤーの藤橋さんや多田さんにご相談をしていたんです。その際に、多田さんも自主的に買い付けに同行したというお話を聞いて、そんな方法があるんだ! と思いました。後日改めてお二人にお会いしたときに、本当に買い付けについて行きたいんです、とお願いをしたところ、だったら一緒に行こうと誘っていただきました。

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ビューティ&ユースのバイヤーチームとパリの街を移動する。歩きながらの会話のなかでも、気づきや学ぶべきところはたくさんあったという。

ーパリでの経験を通してどんなことを感じましたか?

神村:パリは勿論のこと、ヨーロッパ自体が初めてだったので、いろいろと感じすぎたんですが…。歴史や街並みに触れたことで、人生観そのものも変わってしまうくらい、一生忘れられない経験になったと思います。バイヤーの皆さんと行動していて思ったのが、ファッションや服の知識だけではダメなんだなということです。例えば、昼食や夕食に何を食べるか? それひとつとっても、皆さんそれぞれにこだわりや考えがあって、いちいち納得させられる。パリが初めての僕のために、ここはこういう場所なんだよ、あそこのあれは見ておいた方がいいよ、という感じで、本当にいろいろな経験をさせてもらいましたし、そのひとつひとつに対して知識や美意識がある。ビューティ&ユースの根底にあるトラディショナルなマインドと、ライフスタイルそのものを提案するためには、こういう考え方や振る舞いが大切なんだと学ばせてもらいました。

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愛用しているリーバイスのヴィンテージデニムは、もともと古着屋からキャリアをスタートした神村さんにとっては長年の定番。彼が働く熊本は、古着屋が多く、そのカルチャーを通して交流が生まれることも少なくないそうだ。

ーそれはかなり貴重な経験ですね。

神村:はい。日本に戻ってから、日々の暮らしにおける考え方も変わってきたんです。いままで以上にさまざまなことへの興味が溢れている感じですね。お客様と話し込んでしまうことが増えて、前よりもおしゃべりになったと、お店のメンバーから指摘されました。こういうこと全部が、パリでの経験からくる良い影響なのかなと自分では思っています。

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ーこの先はどんな働き方をしていきますか?

神村:接客を通してお客様に感動していただきたいと考えています。僕がパリで経験して学んだことは、僕の生活を変えるくらいの大きな出来事だったと思います。そこには感動もたくさんありました。お客様にもそんな気持ちになっていただきたいんです。どんな目的や考えで来店されているのか? どんなライフスタイルをお持ちなのか? お客様のいろいろな背景を知った上で接客をし、お買い物を通して満足していただく。それが僕がパリで感じた感動に繋がるんじゃないかなと思っています。

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