JP

  • ウツワ UTSUWA
  • フジトと福岡。街歩きで見えてきた服づくりにおける大事なエッセンス。
  • 2019.02.21 THURSDAY

服に対して真摯な姿勢を貫くブランド〈フジト(FUJITO)〉のデザイナーである藤戸 剛さんは九州の出身。ブランド設立から現在に至るまでずっと福岡を拠点にものづくりを行っています。今回はそんな藤戸さんに福岡を案内してもらいました。服屋、本屋、そして飲食店など、おすすめのお店を訪ねていると、ご自身が大事にしているあるものが見えてきました。ご本人いわく、それがものづくりにも影響を与え、〈フジト〉の上質な服が生み出されているのだとか。さっそく藤戸さんの日常をのぞきながら、大事にしているものの正体を探りましょう。

Photo:Go Tanabe
Text:Masaki Hirano

SHOP 01_「ユナイテッドアローズ 福岡店」、「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 福岡店」
自分のお店じゃないのにお客様と話してしまう。

福岡でブランドをスタートさせて16年。〈フジト〉のデザイナーである藤戸 剛さんは、変わらないペースで服づくりに向き合う一方、太宰府天満宮では合同展示会「thought」も開催するなど、地元である九州をベースに自身のやりたいことを貫いています。

_DSC4679

_DSC4695

まずはじめに訪れたのは「ユナイテッドアローズ 福岡店」でした。「ユナイテッドアローズ」と「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ」は〈フジト〉の取扱店。お店でどんなアイテムと一緒に展開されているのか、チェックするのもデザイナーのつとめのひとつなのです。

「両店ともにお店のシーズンテーマに合わせてそれぞれ異なるセレクトをしてくれています。お店の特徴に合わせてブランドからセレクトの提案することもあるんです」

_DSC4584

_DSC4573

_DSC4627

続いても同じく取扱店である「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 福岡店」も訪問。お店に到着するやいなや、ショップスタッフである中嶋さんとの会話がスタートします。「福岡のブランドということで親近感があるし、ぼく自身も藤戸さんのお店によく行くんです。こうやってデザイナーさんと直接コミュニケーション取れるのはうれしいことですね」とは中嶋さんの言葉。ふたりの対話の風景から、ブランドとショップという関係ではなく、ヒトとヒトという関係を結んでいることがわかりました。

「ぼくがつくった服が置いてあるし、スタッフに商品の説明をする機会もあるんで、定期的に足を運んでいるんです。中嶋さんと話したりするのはもちろんですけど、お店に買い物にきたお客様と話すこともあります(笑)」


SHOP INFO
ユナイテッドアローズ 福岡店
福岡県福岡市中央区天神2-10-3 VIORO B1・1F
092-716-3322
11:00〜21:00(不定休)
店舗情報はこちら

ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 福岡店
福岡県福岡市中央区天神2-2-43 ソラリアプラザ 2F
092-737-8381
10:00〜20:30(不定休)
店舗情報はこちら


SHOP 02_「ミノウ ブックス・アンド・カフェ」
古き良き景色に溶け込んだ友人が営むブック&カフェ。

続いて訪れたのは博多からクルマで1時間ちょっとの場所にある“うきは市”でした。ここは、福岡に住む人たちがいま注目するホットなエリア。白壁の古民家が軒を連ね、日本の伝統的な町並みが残る穏やかな街です。

_DSC4777

_DSC4770

_DSC4712

ここには藤戸さんがよくくるという本屋兼カフェがあるとのこと。「ミノウ ブックス・アンド・カフェ」というのがそのお店の名前。店主である石井さんはもともと福岡市内のブックカフェで勤めていて、地元であるうきは市で本屋をはじめたいという想いから3年前にこのお店をオープンしました。実は、店主の石井さんと藤戸さんは古くからの知り合いなのだとか。

_DSC4762

「石井さんとは知り合ってもう8年くらいですね。友達のお店だし、いい本がたくさん揃っているのでたまにふらっと訪ねています」


SHOP INFO
ミノウ ブックス・アンド・カフェ
福岡県うきは市吉井町1137
0943-76-9501
11:00〜19:00(火曜・第三水曜定休)
minoubooksandcafe.com


SHOP 03_「リバーワイルド」
思わず顔がほころぶ絶品ベーコン&ソーセージ。

そろそろお腹が空いてきた頃、藤戸さんはおなじくうきは市にある食べ物のお店を紹介してくれました。「リバーワイルド」というそのお店は、養豚場が経営するウィンナー&ベーコン屋さんで、ここで食べられるアボカドベーコンドッグが絶品とのこと。

_DSC4804

_DSC4795

“リバーワイルド”という店名にある通り、お店は福岡県を東西に横切る筑後川の中州にあり、立地からしてユニークです。

_DSC4814

_DSC4821

到着するとすぐにアボカドベーコンドッグをオーダー。パンにかぶりついたあとの藤戸さんの表情から、そのおいしさがどれほどのものか伝わってきます。

_DSC4857

オーナーのお名前は杉さん。藤戸さんが「うきはの兄貴」と呼ぶほど慕う存在です。

「杉さんとは友人の二俣公一(case-real)の紹介で知り合いました。それ以来、杉さんにはいろんなヒトを紹介してもらって、本当に“うきはの兄貴”なんです」


SHOP INFO
リバーワイルド
福岡県うきは市吉井町橘田565
0943-75-5150
11:00〜17:00(月曜・火様定休)
riverwild.jp


SHOP 04_「つどい」
福岡のクリエイターたちがこぞって“つどう”麺酒場。

4軒目に藤戸さんが紹介してくれたのは、福岡市内にある麺酒場の「つどい」。地元の人たちから絶大なる支持を得る名店のようです。

_DSC4551

_DSC4545

なにやら怪しい店構えですが、店内に一歩入ると、どこか居心地のいい空間が広がっています。壁にはポスターやフライヤーがびっしりと貼られ、カウンターのなかはクセのある雑貨類が所狭しと置かれていて、まるで友達の家に遊びにきたような感覚におちいります。

_DSC4541

昨今、盛り上がりを見せる福岡のファッション&アートシーンですが、その最前線で活躍するクリエイターたちが夜な夜なここに集まっては麺をすすり、お酒を飲み交わしているそうです。

_DSC4529

「マスターのギュウさんはぼくが20歳くらいのからの友人で、週に一回はここにきてますね。カップ麺にインスパイアされたここのメニューはどれも絶品。ぜひ食べにきて欲しいです」


SHOP INFO
つどい
福岡県福岡市中央区 薬院3-7-30
21:00〜26:00(日曜定休)


SHOP 05_「ディレクターズ」
藤戸さんのアトリエ兼ショップ。いつでも接客ができるように。

最後に藤戸さんおすすめしてくれたのは、〈フジト〉の直営店である「ディレクターズ」です。

_DSC4883

現在は薬院にお店を構えていますが、移転前にお店があったのは長浜。そのことについて尋ねると、「はじめから中心地ではあまりやりたくなかったんです。わざわざ足を運ぶお店にしたくて」とのこと。いまでもその気持ちは変わっていないそうです。

_DSC4893

_DSC4900

「すぐに接客ができるように、ショップとアトリエが一緒になっているお店をつくりたくて、ここに移ってきたんです。やっぱりもともとが販売員なので」

今回、さまざまなお店を藤戸さんに紹介してもらって印象的だったのは、行く先々でスタッフやショップオーナーの方々と話し、積極的にコミュニケーションを取る姿。そこにいるヒトとの魅力的な関係性が見えました。

_DSC4906

「やっぱり店主の顔が見えるお店がいいですよね。寿司屋でもラーメン屋でも服屋でも一緒。今回訪ねたお店も、店主のキャラが立ってますよね。地元に残って、わざわざお店をやっている人の心意気がいい。変な力が入ってないし、居心地がいいんです」

藤戸さんが大事にするその関係性はもちろん、〈フジト〉の服を生産する工場の人たちとも築いているそうです。

「工場さんとのやりとりも、膝を突き合わせてちゃんと話せたほうが、いいに決まってます。自分が考えているパターンとかデザインの細かな仕様も、いい関係性を築いていればちゃんと伝えられるし、仕上がりも変わってくる。だから生産背景は西日本が中心だし、ちゃんと行ける距離。それがせっかく福岡でやっている意味に繋がるのかなと思います」

そう語る藤戸さんですが、もともとは福岡にいつづけるとは思っていなかったとのこと。「ずっと東京に行きたかった」と続けます。

「ぼくは福岡に残った人間なんです。90年代から2000年代の頭にかけてはとくに、東京でファッションを発信しないと意味がない時代でした。そんな状況下にも関わらず福岡で粛々と服作りをつづけるなかで、いい工場さんと巡り会えて、そういう人たちとちゃんとやっていこうという気持ちが生まれる。ここにいる理由はやっぱりそれが大きいです」

_DSC4930

東京を拠点としなくても、ブランドとして十分にやっていけることを証明してくれた藤戸さん。福岡で地に足をつけた活動を行いながらも、その眼差しはいま海外に向いていることを最後に教えてくれました。

「むかしの日本のファッション市場はすごく成熟していたから、東京で売れればそれで成立できました。でもいまはそんな時代じゃない。ぼくらは海外に目を向けて、福岡から世界中に売るというスタンスでやってます。アメリカやヨーロッパの展示会に出ると、どの国のブランドもそういう姿勢で服をつくっていることに気づいて。もし東京に行ってやっていたら、そこで生き残ることに精一杯になっていたと思います。それに福岡にいれば運営のコストも低く抑えることができる。ここにいるからこそ、自分のやりたいことができるのかなと思いますね」


SHOP INFO
ディレクターズ
福岡県福岡市中央区警固3-4-3 東ビル1F
092-733-3997
12:00〜19:00(不定休)
www.wstra.com


Share -
  • この記事をシェアする

その他の記事

about

継続的な取り組み