JP

  • ヒト HITO
  • コミュニケーションが生む店舗連携
    北の大地・札幌店のお店づくり。
  • 2019.01.10 THURSDAY

北海道の主要都市、札幌にある「ユナイテッドアローズ」と「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ」は、同じ商業施設内に隣り合わせで軒を連ねる国内でも稀な店舗。各店の店長を務める浜田莉衣さんと佐野喜吉さんは、連携を図り店舗運営にまい進しています。「今後は店舗の垣根を越えていくことが必要」と語ったお二人に、立地特性を活かした両札幌店のお店づくりについてうかがいました。

Photo : Yuichi Akagi(eight peace)

札幌という街のこと、札幌にあるお店のこと。

_DSC4220_1

─まずはお二人がユナイテッドアローズ社に入社されてからそれぞれ、「ユナイテッドアローズ(以下、UA)」「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ(以下、B&Y)」札幌店の店長なるまでの経歴を聞かせてください。

浜田:私は北海道出身で、入社以来ずっとUA札幌店に勤務し、今年の4月から店長になりました。ふたり前までの店長は首都圏の店舗から来た方が務めていて。札幌店スタッフかつ道内出身者が店長になるのは久しぶりなんです。

佐野:入社してから新潟→仙台→新潟→仙台と異動を経て、2013年に「B&Y」札幌店に赴任しました。ここに来る以前から店長は経験していて、歴としては今年で約10年くらいです。

─対象的な経歴ですね。そんなお二人から見て、札幌という街はどう写っていますか?

浜田:コンパクトな街だなと思います。出張でたまに東京に行くと、例えば渋谷、新宿、六本木など、街ごとに雰囲気が全然違うと感じます。札幌はそのいろいろな街(ジャンル)が詰め込まれているイメージ。すべてが1箇所で済む手軽さがいいなと。

佐野:ここUAとB&Yの札幌店が入っている「札幌パルコ」ほか、多くのファッションブランドのショップが集まるのが大通地区で、「さっぽろ雪まつり」で有名な大通公園も目と鼻の先です。主要駅の札幌駅はたくさんの商業施設が直結し、ここから15分も歩けば着きます。北海道最古の商店街がある狸小路や、札幌一の繁華街で知られるすすきのも大通地区から徒歩5分圏内。観光地、飲食店、買い物スポットとすべてが凝縮されていて、何をするにも事欠かないと思います。
あと北海道の冬はとにかく寒いイメージですが、実は室内はすごく暖かいです。アウターは機能性重視で本格的なものを選ぶのが良いかもしれませんが(笑)、中は厚着でなくても全く問題ないと思っています。

浜田:札幌駅から大通地区周辺まで続く地下道があり、電車やバスにすぐ乗れる交通網も整っています。その意味では、冬も寒さを気にせずファッションを楽しんでいただけますし、お客さまも感度の高い方が多いんです。

_DSC4248_1
札幌駅から真っ直ぐ伸びる駅前通。15分ほど歩くと、大通公園や店舗がある札幌パルコ周辺の大通地区に。風情ある路面電車「札幌市電」や、通りに沿うように地下通も走っている。

─お二人が店長を務める「UA 札幌店」と「B&Y 札幌店」は、札幌パルコ内で隣同士の立地ですね。

佐野:はい、全国の店舗でも同じ商業施設内に入っているところは多いですが、隣接しているのは珍しいかもしれません。ですので、店舗間の相互接客というのはよくあります。以前にジャケットをお求めのお客さまを接客したのですが、お客さまの体型に合うアイテムがB&Yにはなくて。隣のUAに、似たようなジャケットがあったためそちらにご案内して、購入していただけたことがあります。

浜田:UAにはお仕事で着るきれいめのお洋服を買いに来てくださるお客さまがいらっしゃり、お話しをうかがっているとプライベートや休日だとライフスタイルも変わり、カジュアルな服を着ているとのことだったため、B&Yにお連れしてアイテムをご提案することがあります。お越しいただいた店にお目当ての商品がなくても、隣をご案内すれば選択肢が広がるというのは、お客さまにとっても良いことですね。

佐野:お客さまのスタイルや趣味趣向がどんどん細分化されてきているので、よりニーズに合ったご提案をするためにも、店舗間の垣根はどんどん取り払っていこうと。4月にちょうど組織改編でUAとB&Yが同じ事業部になったこともあり、会社としてもそういう流れになってきているので、札幌店も少しずつアクションを起こしているところです。

_DSC4374

_DSC4495

何はともあれ、コミュニケーションを大切に。

─店舗間の相互のやり取りをスムーズに行うために、具体的にどのような工夫を?

浜田:UAとB&Yそれぞれの担当者から今季のアイテム詳細や傾向などを聞いて、各店のトレンドやおすすめを把握するようにしています。今は店頭のiPadで全ブランドのシーズンカタログを見られるので、もし接客中にご提案が難しい場合、似たアイテムが他ブランドにないかをチェックする時間をいただくなどは、積極的に行っていますね。

佐野:シーズンごとに各ブランドの商品説明会があって、そのフィードバックへ相互で参加することも今後は行っていきます。まずは自店の商品以外の情報を、すすんで取り入れるということですね。それだけで、お客さまへの接客の幅が確実に広がっていきますから。

_DSC4157

─なるほど。そういった内容は、店長同士で話合われているのでしょうか?

浜田:はい。今は月に2回、2人でミーティングをする時間を設けています。互いの店舗の課題を出して、次回までにそれをどこまで進めるかなど、細かく話し合うようにしているんです。

佐野:やっとうまく軌道に乗ってきたけれど、はじめは収集がつかなかったよね(苦笑)。隣り合っていても、やはりUAとB&Yでアイテムはもちろん店舗内の事情など、さまざまな部分で違いがあって。

浜田:確かに。朝礼の仕方ひとつとってもUAとB&Yで全く違ったんですよ。これだけ近くにある店舗でも、今までは「一緒に何かをやっていこう」という視点はなかったので、互いの店舗のいいところを残しつつ、よりよい形をつくっていく作業をしています。

─店舗内の動きからも足並みを揃えていく、と。

佐野:はい。接客スタイルに関しても、B&Y の方向性としてはカジュアルではあるものの、UAのイメージでもある「品の良さ」や「凛とした対応」などをうまくミックスできたらと思っています。所作や言葉遣いからしっかりとスタッフに指導していきたいので、いつも隣からUAスタッフの接客を参考にしています。

浜田:あ、そうなんですね(笑)!

佐野:うん。例えばお買い物されたお客さまをお出口までお見送りするのに、UA札幌店はレジからお出口までが少し離れていて、その間お話している様子がB&Yの店舗からも見えています(笑)。お客さまのお顔を見ただけで「あ、いい接客を受けたんだな」と分かるんです。


北海道ならではの共通項がつなぐ、コミュニケーションの連鎖。

_DSC4146_1

─お互いに切磋琢磨しながら、いい店舗づくりに向けて努力されていると。それには、店舗に立つスタッフの協力も必要不可欠です。

佐野:そうですね。僕がスタッフとのコミュニケーションで心がけているのは、指示を出す時は「なぜこれをやってもらわないといけないか」とか「これをやってくれることでこれだけ助かる人がいる」というところまで伝えるようにすることです。自分に与えられている仕事の意味が分からないまま取り組むと、スタッフのモチベーションも下がってしまうので。

浜田:私は働くうえで、どんな立場に立ってもまわりの人とはフラットでいたいと思っています。業務の時は感情の波を出さず、相手がどう思うだろうと考えながら何かを伝え、話すように心がけています。特に対後輩だと、私に対して自分の意見を言いにくいときもあります。まずはその子が考えていることはあるかを聞くことも大切にしていますね。

─お二人の、スタッフを思う気持ちが伝わってきます。

浜田:それと、二人ともキャンプが好きなんですが、UAと B&Yどちらのスタッフにもキャンプやフェス・登山・スノーボードなどアウトドア好きの人が多くて、よく一緒に楽しんでいます。翌日が休みの時に、仕事後そのまま出掛けたこともあるんですよ(笑)。

佐野:前にB&Yのスタッフともキャンプに行っていたよね。僕はもっぱら家族キャンプなので、スタッフとも行きたいなと思っています。それで言うと最近は、札幌の初雪前にスタッフたちと雪を見に旭川まで行きました(笑)。石狩の「マウニの丘」という絶景カフェにも行ったことがあるんですが、車で1時間弱行けば自然に触れられるので、よく羽根を伸ばしに行きますね。

浜田:スタッフには道内出身者はもちろん、北海道が好きで他県から来た者も多いです。北海道の土地や自然が好きな人たちだから、誰がどこに行ったとか、このキャンプ道具が良いとか、アウトドアを通じたコミュニケーションが自然と生まれるんです。

佐野:プライベートで職場の人と関わるのは苦手な人もいるじゃないですか。こうして共通の趣味を通じてスタッフの素の姿を見られることは個人的にも嬉しいです。一時期スタッフとサーフィンによく行っていましたが、「あ、みんなお店にいる時と変わらないな」と分かったり(笑)。

_DSC4306

_DSC4319
お二人愛用のアウトドアグッズ。家族でキャンプに行く佐野さんは、お子さんや風景を撮りためるというカメラは欠かせない(上)。浜田さんはアウトドアで使うパッカブルバッグやポーチ、スマホケース、キーケースなどを普段使いもしている本格派(下)。

─アウトドアという「好きの共通項」が、両店のスタッフをつなぐツールになっているんですね。

佐野:はい。店舗でのお客さまとのコミュニケーションにも同じことが言えます。お客さまとお話をするなかで「友だちとフェスに行く」と分かったら、それに合わせたアイテムをご提案することが可能です。逆に自分よりアウトドアに詳しいお客さまにお会いできたら、自分から質問することもあります(笑)。

浜田:あるあるですね(笑)。店長同士、店長とスタッフ、スタッフとお客さま、それぞれのコミュニケーションを語る上で欠かせないものだと思います。「好きなことを共有する」のは、お互いの関係性をより親密なものにしてくれるはずです。UA、そしてB&Y札幌店の強みとして、今後も大切にしていきたいと思います。

─では最後に、今後の展望や個人としての目標を教えてください。

浜田:いまはネットで何でも買える時代がゆえに、わざわざ店舗に足を運んでいただけることは、すごく価値のあることだなと。お客さまにとってリフレッシュや楽しみの時間になるような、商品を買うこと以外の付加価値を提案できるお店になったらいいなと思います。先ほどもお話した、自店だけでなくB&Yの商品を含めたご提案や店舗間連携も、いまは札幌店の大きな特徴です。これからも互いに協力してより密な店舗間連携を図り、全店をリードする店舗として成長していきたいです。 

佐野:同じく、時代の流れを鑑みると実店舗のあり方や役割を改めて見直すべき時かなと思っています。僕も模索中ではあるのですが、そのなかで「新しい価値を提供できるスタッフ教育」には力を注いでいきたいです。各々が主体性を持って働けているかとか、まずは店舗内の士気を高めることでお客さまにも「また来よう」と思ってもらえるお店になると思っています。

浜田:これは先輩スタッフが言っていたのですが、「服を売るだけじゃなく、お客さまの生活を豊かにするためのコンシェルジュでありたい」。この言葉にすごく共感していて、スタッフとも同じ思いを持って働いてもらいたいなと思います。誰ひとり欠けてもだめで、1人ひとりが高い意識を持って仕事をする。ひいては、その集団がユナイテッドアローズ社だというところにつながっていったら嬉しく思います。

_DSC4188

Share -
  • この記事をシェアする

その他の記事

about

継続的な取り組み