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  • モノ MONO
  • 手のひらに広がる一瞬のきらめき——
    めくるめくスノードームの世界。
  • 2018.12.14 FRIDAY

ゆらゆらと水の中で雪が舞い落ちるスノードームは、世界各国の有名建築物や冬のモチーフなどさまざまなものがあり、眺めるだけで私たちを非日常へといざなってくれる幻想的なオブジェ。ユナイテッドアローズではこの冬、店頭でお買い物していただいたお客さまに、ノベルティとしてスノードームを配布します。大人も子どもも多くの人が心動かされるスノードームの魅力を、ここで改めて紐解いていきましょう。今回はご自身でもスノードームを制作されているアーティストの「Ato1snow(アトワンスノウ)」さんにお話を伺いました。

Photo : Yuka Uesawa
Text : Kana Yokota

1世紀以上の歴史があるスノードーム。

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—そもそも、スノードームの歴史のはじまりはいつなのでしょうか?

Ato1snow:1878年のフランス・パリ万博で、スノードームのようなペーパーウエイトが出展されたことが起源と言われています。その後、エッフェル塔が完成した1889年のパリ万博で、それを記念してエッフェル塔のスノードームがつくられました。万博に訪れた旅行者がこぞって買い求めて自国に持ち帰り、世界中に広まっていったんです。

—なるほど。かなり長い歴史があるんですね。

Ato1snow:1910年代から、ヨーロッパ各地の巡礼地で宗教的なモチーフが人気を集め、お土産として人気に。他にも名所・旧跡やクリスマス、童話などの物語をモチーフにしたスノードームもつくられ始めました。20年代にはアメリカ、カナダに輸出され始めています。日本では1930年代から、国産のスノードームがつくられ輸出も盛んに行われました。50〜60年代にはガラスに替わり、安価で量産できるプラスチック製が普及していったんですよ。

—プラスチックだと、大きさや形など制作の自由度が高まりそうですね。

Ato1snow:はい、半円形のものや、塩胡椒入れタイプのスノードームも出ていますね。さらにはカレンダーやオルゴール、ライトが付いたものだったり、シーソーが動くものや輪投げタイプなどバラエティ豊富で、手頃に買えるお土産として流行していきました。そういった歴史的、文化的背景が反映されているところも、スノードームのおもしろさの1つです。

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—最近の動向についてはいかがですか?

Ato1snow:スノードームとしては変わらず、今もさまざまな種類がつくられています。最近は「スノードーム〇〇」というワードを目耳にすることが増えました。ピアス、ネックレス、指輪などのアクセサリーのモチーフがスノードームになっているんです。ネイルなんかも流行っていますよ!

—スノードーム自体がモチーフに! 想像するだけでかわいいですね。

Ato1snow:「スノードーム=インテリア」だったのが 「スノードームをアクセサリーとして持ち歩く」という発想はなかったので、初めて見たときはなるほど!と。一過性のトレンドかと思ったのですが未だにたくさん売られているし、ハンドメイドパーツも増えているので、ブームはまだまだ続く気配です。製菓でもスノードームクッキーというのがあって、アラザンがシャカシャカと動くんです。どうやってつくっているんだろう、と思っていつも見ています。


1個10万円? 知られざるスノードームの価値とは。

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—世界中でたくさんのスノードームが生み出されていますが、そのなかでも価値があるのはどんなものなのでしょうか?

Ato1snow:制作されてから年月が経っているアンティーク品は、高価なものがもちろんたくさんあります。アンティーク品と並んでコレクターに人気なのは、企業やブランドが制作して期間限定で配布・販売したもの。とある海外ファッションブランドのノベルティだったスノードームが10万円で取り引きされた、なんていうお話も!

—では今回、ユナイテッドアローズがノベルティとしてつくったスノードームも時を経ると…?

Ato1snow:すごく価値のあるスノードームになる可能性があります(笑)。今回ノベルティとしてつくられたスノードームを拝見しましたが、真っ赤なクリスマスツリーのモチーフと、白い土台とのコントラストがとても印象的ですね。ひと目見ただけでクリスマスムードが高まりますし、手のひらに乗るサイズ感がかわいいです。私も欲しいので、配布がはじまったらお店にお買い物しに行こうと思います。

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せっかくなら、人が驚くようなスノードームを。

—Ato1snowさんはスノードームをご自身でつくっていらっしゃいますが、そもそも制作されるようになったきっかけは?

Ato1snow:私の実家が玩具店で、小さい頃からたくさんのおもちゃに囲まれて育ったんです。なかでも、ウォーターゲームやフロートペンが大好きで、「水のなかで何かが動く」ものが、が潜在的に好きなのかもしれません。

 高校生のとき、雑誌で見かけたサンダルのヒールが、スノードームになっていることに感激して! サンダルはずっと探し続けていてまだ見つからないんですが、その頃からスノードームを集めるようになりました。旅先で見つけては購入したり、友達からプレゼントしてもらったり──そのうち手に入るスノードームだけでは満足できなくなって(笑)、自分で作ってみようと思ったんです。

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日常のなかで思い浮かんだ作品のアイデアを少しずつ書き溜めているというノート

—作品はユーモアのある独特の世界観が特徴的ですよね。

Ato1snow:最初は既存のキャラクターもので趣味程度につくっていたのですが、せっかくつくるなら私にしかつくれないものをつくりたいと思い始めて。方向性を模索するなかで、Walter Martin&Paloma Muñozという海外アーティストのスノードーム作品に出会いました。彼らのシュールで冷たい世界観は目から鱗で、「こんなスノードームもあっていいんだ!」と、背中を押されたような気がして。

—なるほど。確かに従来のスノードームの概念が覆されました!

Ato1snow:コンセプトは「非現実的なリアル」。一見するとありえないシーンのなかに、私たちの日常に起こる事象を反映する作品が多いです。私は少しだけ毒のあるものやくすっと笑えるものが好きみたいで(笑)。先日アートフェアでたくさんの方に作品を見ていただき、お褒めの言葉をいただけました。私のスノードームを単に雑貨としてではなく、アートとして評価していただけたことが嬉しかったです。

6_DSC22174_DSC2225Ato1snowさんのスノードーム作品(左)と、ご自身のコレクションの一部(右)


“その一瞬を閉じ込める”スノードームの魅力。

—これまで数々のスノードームに触れ、自作されてきたAto1snowさん。改めて、スノードームの魅力とは何でしょうか?

Ato1snow:「今いる場所とは違う世界が、手のひらに広がる感覚」ですね。旅先で買ってきたスノードームを眺めるだけで、また旅ができる。行ったことのない場所のものであれば、「どんなところだろう」と想いを馳せることができる──ゆっくり舞い落ちる雪に、心が安らぐところもいいですよね! 皆さん、毎日を振り返る時間もないくらい忙しく駆け抜けている。そんなときにこそ、たまにスノードームを眺めてみてほしいです。

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—あえてそういう時間をつくることは大切かもしれません。たとえ数秒間だけだとしても、別の世界へ行くことができる。

Ato1snow:そうなんです。ちなみにスノードームは年月が経つとなかの水が減っていくし、濁っていくこともあります。さらに球状のガラスは1ミリもない薄さ。そういう意味では繊細で、すごく刹那的なものなんです。永久に美しいわけではない、ある意味で儚いからこそ惹かれる部分もありますね。

—知れば知るほど、スノードームの魅力に引き込まれていきます。

Ato1snow:はい。スノードームは、そのときその瞬間の出来事も一緒に閉じ込めてくれるものだと思います。私も、一番最初に友人がプレゼントしてくれたものは特に印象に残っていて。スノードームがモチーフのマグネット付き栓抜きだったのですが、「町を歩いていたら偶然スノードームが目に留まって、あなたのことを思い出したから買ってきたよ」と言って渡されたときは、涙が出るほど嬉しかったのを覚えています。 そんな風に、例えば2018年のクリスマスにプレゼントされたスノードームなら、後から見たときに、当時のクリスマスの思い出をよみがえらせてくれるんですよね。

 もちろんスノードームは、クリスマスの時期だけではなく年中楽しめるもの。スノードームの魅力がもっとたくさんの方に伝わるといいなと思います!

プロップ協力:AWABEES, Props Now, Snowdome Museum

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