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  • 20周年を迎えた今。 その独自のモノづくりの視点が生み出すファッションの楽しさとは。
  • 2018.08.29 WEDNESDAY

<ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング>(以下、GLR)が誕生して今年で20年。<ユナイテッドアローズ>本体から派生したブランドですが、そのコンセプトや商品展開が多くの人に支持され、今や人気を二分するほどの存在です。なぜここまで支持されるのか。その秘密の一つが商品企画力。トレンドをしっかり研究し、お客さまの目線で物事を考え、何よりも品質に妥協しない。時代にしっかりと寄り添い続けるGLRの商品力の秘密を、メンズディレクターの坂下さん、ウィメンズディレクターの田中さんに伺いました。

Photo:Takeshi Wakabayashi
Text:Jun Namekata(THE VOICE)

その服を着てどこで何をするのか?
ファッションはモチベーションが大事。

-GLRのモノづくりについて伺う前に、そもそもどんな価値を提供するブランドであるのかをお二人にお伺いしたいです。それがあってこそのモノづくりのこだわりなのかなと。

田中:「Be Happy ココロに良いおしゃれな毎日」と掲げているように、単純なファッションとしての側面だけではなく、もっとお客さまの生活に寄り添った提案ができるブランドでありたいと思っています。それはメンズ、ウィメンズ、キッズ全てに共通することですね。

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坂下:肩肘を張らずもっと自然に、自分らしくリラックスしながらおしゃれを楽しむ。そうあることが結果的にHappyにつながる。GLRが提案する価値はそこにあると思います。

田中:『その服を着てどこへ行くか』を提案する方が大事だと思うんです。ただ単純に洋服を提供して終わりではなく、その先になにがあるのかを考える。

坂下:会社へ着ていくものかもしれないし、キャンプへ行くのかもしれない。デートかもしれない。ファッションの先にある、本当に大事な価値というのはそこにあると思うんです。そういったシーンを想定しながらモノづくりやバイイングを展開しています。

-具体的にどうやってそういった考えをデザインに落とし込んでいるのですか?

田中:まず、GLRのウィメンズは、他社に比べてテイストの幅がすごく広いんです。だからこそファッションテイストをきちんと定義付けしなければいけない。そこでウィメンズが掲げたのが“オーセンティック”と“フェミニン”です。“オーセンティック”は、定番だけど常に進化していること。“フェミニン”というのは、甘い女の子らしさではなく、品のある女性らしさを大事にすること。この2つを明確なコンセプトに掲げることで、ブレないモノづくりを進めています。

坂下:メンズは基本的にはベーシック&スタンダード。アメトラやフレンチシックを取り入れた普遍的なスタイルを心がけています。ファッションは奇抜さを個性とする部分がありますが、GLRではもっと、日常の中で品があって、素敵な人だねと思ってもらえるクリーンなスタイルを重視しています。

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田中:もちろん、だからと言って中庸的なものを提案し続けているわけではありません。その中にもさりげなくトレンド感が潜んでいたり、新しさがあるべきだと思っています。ファッションですから、やっぱり気持ちがアガらないと面白くないですよね。

坂下:モチベーションというのはかなり重視しています。洋服自体を買うモチベーションはもちろん、入学式とかパーティとかキャンプとか、一年を通したイベントごとのモチベーションもそう。それぞれのモチベーションに合わせてトータルで提案することを意識して、商品を開発しているというのは大きな特徴だと思います。

田中:それとやはりクオリティと価格のバランスも重要。お手頃でリーズナブルだけど品質は高い。つまり実際の値段以上に高くみえる。簡単にいうと“お買い得感”なのですが、それもGLRにとって欠かせない価値ですね。


どの商品もクオリティは絶対に胸をはれるレベル。

—トレンド感やファッション感はあるけれど肩肘を貼りすぎず、リーズナブルでいながら高見えする。ある意味、一番難しいところを提案していると思います。

田中:本当にトライ&エラーの繰り返しなんです。お客さまの声に耳を傾けて、良かったところ、悪かったところをきちんと反芻しながら、落とし所を蓄積してきたというのが私たちの強み。そのおかげでチーム全員の目線や方向性が揃っていったという実感があります。

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坂下:そして、チーム全員で目線を合わせていく中でやっぱり大事だと実感するのが“モノのクオリティ”です。例えば似たような商品が他にあったとしても、うちのモノの方がクオリティが高ければ、確実にお客さまも反応してくれる。デザイン性や着こなしの提案はもちろん大事ですが、一点一点のクオリティが胸を張れるレベルになっていることも大事です。

—モノのクオリティというと?

坂下:生地や縫製といった基本的なことですね。例えば僕の場合は、まず理想の仕上がりをイメージするんです。そしてその理想のアイテムを実現させるためにはどんな素材を使って、どんな縫製技術で、どうやってつくればいいかを吟味する。料理に例えるとわかりやすいかもしれません。どんな素材を使って、どんな味付けで、どんな皿にどう盛り付けて提供するのか。その一つ一つの工程に手を抜かない。GLRの洋服はその多くがオリジナルで開発した生地でつくられていることも、クオリティに妥協しない証拠と言えると思います。

田中:お客さまの目も本当に肥えていらしていて、そうやってこだわりを持ってつくったものには、確実に反応してくださるんです。なおさら妥協はできませんよね。

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−さて、今回はそんなお二人に、これまでヒットしたアイテム、あるいはターニングポイントとなったアイテムをご持参していただきました。まずはウィメンズからご紹介いただけますか。

田中:これは、今年の春夏から店頭展開がスタートして、非常にご好評をいただいている商品です。メンズと違ってウィメンズはあまり素材軸で商品を展開することがなかったのですが、今回初めてトライ。トリアセテートポリエステル素材を使用したジャケット、パンツ、スカート、ブラウス、キャミソールです。

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かっちりしすぎるジャケットは嫌だけど、きちんと見えたい。そういうシチュエーションって意外に多いと思うんですが、ちょうどいい服がない。これはそこに着目して開発したアイテムなんです。リネンライクで肌さわりのいいトリアセテート素材は、発色が良くてドレープも綺麗に出るのが特徴。さっとラフに羽織ることができるけれど、シワになりにくくて見栄えはきちんとしている。

本来、うちでは扱えないくらいの高価な生地なのですが、交渉を重ねることで商品化を実現しました。コンセプト、素材、アイテムのバリエーションが全てが噛み合った事が功をそうして大ヒット。狙って落とし込んで行ったアイテムなので個人的にもこれには感動しましたし、ウィメンズも素材軸でアイテムが評価されることがわかった。まさにターニングポイントとなったアイテムだと思います。

そしてこちらが2015年に、お客さまの声を元に開発したモッサメルトンのコートです。フードが取れてノーカラーになること、ファスナーではなくボタンを採用していること、フードにできるだけ立体感を持たせることなどを追求。他ブランドの原料担当の方に、生地のアドバイスを仰ぎながらつくったアイテムです。

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これもとてもヒットして、今も定番的に展開しているアイテム。それまで一つのアイテムをこうやって深掘りして開発することがほとんどなかったウィメンズにおいて、単品開発の面でレベルアップできた思い出の商品ですね。これを機にウィメンズでも“語れるアイテム”が増えています。

-メンズはいかがですか?

坂下:メンズはやっぱり今も定番的に売れ続けている、イタリアのレダ社とのコラボレーションで開発したオリジナル生地Vallemosso「ヴァッレ・モッソ」のスーツですね。

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ドレープ性が強くて光沢があり、風になびくイタリアの素材の良さを生かしながら、日本の気候に合わせたものにアレンジ。糸からこだわった肝入りの商品なんです。8年ほど前に完成したものですが、今もなおメンズスーツの定番生地として人気。ビジネスから冠婚葬祭まで幅広く活躍しますし、通常8万円前後するところを、4万円代で実現させているコストパフォーマンスも魅力です。

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あとはその約2年後に開発した、ロロピアーナ社のストームシステムのコート。ストームシステムというのは、素材の風合いを活かした撥水・防風機能を搭載した高機能素材のこと。今でこそ有名ですが、当時はまだ知名度は低かった。軽くて着心地が良くて機能性も高いコートはすぐ評判になりました。こちらも今も定番で展開。素材軸でアイテムを開発することの大事さが証明されたアイテムになりました。

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モノづくりがファースト。今までも、これからも。

−どれも今の<グリーンレーベル リラクシング>を支えるアイテムの一つですね。そもそもセレクトショップとしてスタートした<ユナイテッドアローズ>ですが、<グリーンレーベル リラクシング>はモノづくりに対してのプライオリティがとても高いと感じます。

坂下:シーンやモチベーションを想像して商品を展開する場合、そこにピッタリとマッチする服を提供しようと思ったら、やはりオリジナルでつくらなければ理想のものはできません。そこにセレクトアイテムをうまく取り入れながら、より洗練性の高いファッションスタイルを構築する。<グリーンレーベル リラクシング>はどちらかというと、モノづくりがファーストかもしれません。

田中:まずは自分たちの商材でいかにその人の生活にマッチする服をつくることができるかが重要。それが提案の精度に直結しますから。

−さらなる課題や、今後の展望などはありますか?

坂下:やはりサスティナブルなモノづくりに今後は重点をおいて取り組んでいきたいと思っています。今もスポットでエコペットというリサイクル素材を使用したスーツは展開していますが、よりしっかりとした継続的な取り組みとして展開していきたい。その上で日本の各産地を支援したりすることも重要です。今よりもさらに生活に寄り添うブランドに成長できたらと思っています。

田中:20周年という節目を迎え、今まで培ってきたノウハウを生かしたコラボレーションアイテムを展開しました。ここ2年くらいで、ようやく直接産地に行ってものを吟味したり素材を開発したりということができるようになってきたので、それはこれからも継続していきたいと思います。それに加え、最近お客さまがブランドに求める価値というのがちょっとずつ変わってきているのを実感していて、今までよりも遊び心やデザイン性を求めているように感じます。今後は積極的にそういったものも提案をしていきたいなと思っています。

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