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  • モンキータイムに満を持して参画。シーンを代表する〈マジックスティック〉の魅力とは?
  • 2018.08.16 THURSDAY

ストリートとモードのエッセンスを取り入れながら、日本独自のミックス感覚でスタイルを提案する〈モンキータイム〉。東京と世界のいまのストリートシーンを牽引する注目のレーベルとして、近年注目を集めています。一方で、東京のリアルなストリートファッションを実直に表現し続けてきた〈マジックスティック〉。音楽的なカルチャーを背景とし質の高いものづくりで、アンダーグラウンドな立ち位置ながら着々とコアなファンを作り続けています。そしてこの秋冬シーズンから、両者がついにタッグを組むという情報をキャッチ。ここでは、知られざる〈マジックスティック〉というブランドについてご紹介を。先日のパリ・ファッションウィーク中に行われていた現地での展示会にお邪魔し、デザイナー今野直隆さんにお話を伺いました。

Photo:Shunya Arai
Text:Masaki Hirano
Special Thanks:No Experiment Lab 

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ブランドと音楽の距離が自然と近づいていった。

ーまずはブランドの成り立ちや、背景について教えてください。

今野:スタートしたのは2009年から。展示会をやるようになって本格的に始動したのは、2011年の春夏シーズンからです。自分でブランドを始めようと思ったころが、ちょうど世の中的に90年代ブーム到来前夜というタイミングで、音楽とファッションの距離感も縮まりつつあったんです。この雰囲気とトレンドは自分の背景にぴったりだし、自分が本当に欲しい、着たい服が作れるんじゃないか? そんなふうに思ったのを覚えています。

ー〈マジックスティック〉と言えば、ブランドと音楽が常に隣り合わせにあるように感じます。当初からそんなイメージ作りは考えていたんですか?

今野:結果的にそうなったという感じですかね。音楽が好きだからいつのまにか近づいたというか。例えば、僕らが若いころ、DJのMUROさんがやってたお店が渋谷にあって、みんなそこに行ってたんですね。音楽が好きでその人が好きになって、そうなるとその人の着てる服、店が気になって…。そんな感じで、ブランドと音楽が近づいていったんだと思います。

ーコンセプトや背景に、ヒップホップ的なエッセンスがあるイメージですが。

今野:そうですね。当初掲げていたコンセプトは、ブラック・シープというヒップホップグループの曲名でもある「The Choice Is Yours」でした。長く着られる良いものを提供したいという思いから、このコンセプトにしていたんですが、最近は90年代というキーワードが世に溢れかえっているのと、ヒップホップ系のブランドというイメージだけで、カテゴライズされてしまうのはちょっと違うかなと思うようになって、あまり表立って言わなくなりました。ただ根底の考え方はスタート時と何ら変わりありません。

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絶対にやりたい! という強い気持ちで“直談判”へ。

ーこの秋冬シーズンから、「モンキータイム」で取り扱いが始まるわけですが、いままでやってなかったんだ? と思ってしまいました。ストリート系のブランドを取り扱うならば、〈マジックスティック〉は外せないんじゃないか、と。

今野:実は以前に、もうひとつのブランドを取り扱っていただいていたんですが、〈マジックスティック〉としては今季からです。パリで展示会をやるようになって今年で3年目なんですが、海外に出てみると外国人たちが口を揃えてモンキータイムの話をするんです。日本から来たならユナイテッドアローズのモンキータイムを知ってるか? 俺にも紹介してくれ!って(笑)。国内外の良いブランドを分け隔てなくセレクトしているし、感度も高い。みんなそういうところをちゃんと見ているんですよね。そんなこともあって、やっぱり注目されているお店で〈マジックスティック〉をやりたいなと、ずっと思っていました。

ー以前から交流はあったけれど、お互いのタイミングが合わなかった。という感じですか?

今野:そうですね。展示会には4~5シーズン前から来ていただいていたんですが。でも今シーズンは絶対にやりたい! という強い気持ちがあって、もう言うなれば、“直談判”ですよね。

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ー直談判とはすごいですね。モンキータイムの客層と〈マジックスティック〉のアイテムはうまくマッチしそうですが、どんなふうに受け入れられると思いますか?

今野:インスタグラムのハッシュタグ検索で、どんな人たちがユーザーなのかを見ていると、好きなブランドやアイテムを、フラットに着こなしている人が多いんだなあと感じました。いわゆるキャッチーなアイテムを盛り付けたような格好ではなくて、ちゃんと自分のスタイルの中でトレンドを取り入れているような、良い意味で小洒落ているイメージです。そんな感じで僕らのアイテムも着こなしてもらえると嬉しいですね。

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「人を楽しませる」ことは僕らにとって企業理念のようなもの。

ーパリでの展示会の話が出ましたが、国内だけでやっていたときと変わったことはありますか?

今野:MD(マーチャンダイジング)的な感覚が身に付いたと思います。国内だけで展示会をやっていたころは、こういうものしかダメ! みたいな、こだわりのような自分のエゴが強くあった。でも海外に出してみると、いろんな国の人が、いろんな意見をくれるんですね。それを総合的に考えていると、どういうものを作ればいいのかが見えてくる。これってまさにMDだと思うんです。

ーなるほど。ここ最近のコレクションを拝見していると、どんどん洗練度がアップしているように感じるのですが、これはいまのお話にあるように、パリで展示会をやるようになったのが要因なんでしょうか?

今野:そうかもしれませんね。国内ブランドと海外ブランドの差みたいなものも、だんだん意味がなくなってきているし、トレンドやシーンの最前線にブランドとしてちゃんと立っていたい。いまはそれができていると思うんです。やっぱりパリで展示会をやるようになって、思い描いていたことが少しずつ実現できてきたなと感じますね。

_DSC2092_DSC2177_DSC2162_DSC2108パリで行われた展示会場でのスナップショット。今野さんの周りにはストリートファッションをリアルに楽しんでいる仲間が集まる。インタビューにも出てくる「人を楽しませる」を信念とする〈マジックスティック〉らしい光景だ。

ー少し話は変わりますが、ブランドとして規模の大きなイベントも都度開催されていますよね。

今野:はい。もともとブランド名に「エンターテイメント」と付けてイベントをちょこちょこやっていたんです。その拡大版として、大きなイベントをやりたいと思ったのが事の始まりです。なぜ? と聞かれたら、僕が好きだからです(笑)。人を楽しませることがやりたいとずっと思っていて、それにはたとえお金がかかっても、やる意味が自分的にはあるんです。2年前に東京・晴海客船ターミナルで、規模の大きい野外パーティを開催したんですが、あれは楽しかったですね。エンターテイメント=人を楽しませる。これは僕らにとって企業理念みたいなものなんです。

ー展示会の期間中にパリでもパーティを開催されてますよね?

今野:パリでイベントをやることにはふたつの意味があると思っています。ひとつはプロモーション的な側面で、パリコレ期間中は世界中からいろんな人が集まりますよね。イベントをやることで、そんな人たちに〈マジックスティック〉の名前を知ってもらえると思うんです。僕らにとってこれはすごく大切なことです。もうひとつは、日本人が集まる場所を作りたかったんです。パリに来ている日本人関係者は、多くの人が夜は早々に宿に戻ってしまう。まあ昼間にたくさん歩き回るんで、しょうがないとは思うんですが。それでも僕らは日本人が遊べる場所を作りたかったんです。場所さえあればきっとみんな来てくれるだろうと。実際、イベントにはすごくたくさんの日本人が遊びに来てくれて大盛況。普段関わりのない人たち同士が繋がったりして、良い空間を作れたんじゃないかなと思いました。こういうことって、誰かがやらなきゃいけなくて、みんな誰かやってくれないかなあと思ってる。それをやるのが僕らの役目なんだと思います。

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アマゾンファッションウィークに何かしらで関わりたい。

ーブランドがスタートしてもうすぐ10年ですが、この先の展開などは考えていますか?

今野:これまで積み重ねてきたことをブレずにやることですね。まずはそれが絶対に大事だと思っています。その先で言うと、もうひとつ上のステージに行きたいなと思っています。周りからは、コレクションをやってみれば? と言われることが多くて。チャレンジとしてはとても興味はあるんですが、僕はランウェイって感じじゃないし。でもアマゾンファッションウィークには、何かしらの形で関わってみたいなと密かに考えています。運営側が僕らのようなアンダーグラウンドなブランドに、何かおもしろいことをやるチャンスをくれたら最高ですよね。

ーモンキータイムとの関わりについてはどうですか?

今野:ただ服を売ってもらうという関係ではなく、僕らが外からコンテンツを持ってきて、モンキータイムという場を使ってイベントをやるとか、楽しいことを一緒にやりたいですね。こちらからユーザーに向けてどんどん仕掛けていくというか、そういうことが柔軟にできるのがモンキータイムの良いところなんじゃないかなと思っています。

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