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  • ヒト HITO
  • 10年目を迎えたREDUCE SHOPPING BAG ACTION。
    森林保全団体「more trees」とのこれまでと今。
  • 2018.05.16 WEDNESDAY

ユナイテッドアローズ社 全ストアブランドの実店舗でお買い物の際、ショッピングバッグが不要の場合にお断りいただくと、1回につき10円を森林保全団体に寄付する「REDUCE SHOPPING BAG ACTION」も今年で10年目。現在は「more trees」(以下、more trees)を支援先として、「LIFE311」プロジェクトをサポートしています。お客様の環境への思いが寄付金となり、それを元に森林保全活動を行うmore treesとは、実際に森でどのようなことをしているのでしょう。more trees事務局長の水谷伸吉さんとユナイテッドアローズ社の玉井菜緒が、これまでに歩んだ道のりを振り返ります。

Photo:Takahiro Michinaka
Text:Noriko Ohba

森づくりとしての“間伐”。

—音楽家の坂本龍一さんが立ち上げたことでも有名なmore treesですが、発足時のことや現在の活動について教えてください。

水谷:more treesは、環境問題や国際平和問題などにさまざまな形で取り組んできた坂本龍一が、健全な森をもっと増やすこと、森の資源を健全に循環させることを目的に2007年に設立し、今年で11年目を迎えます。more treesという言葉だけ聞くと、もっと木を=植林をする団体というイメージがあるかもしれませんが、僕らが行っているのは、森づくり、なかでも間伐を推進しています。同時に、人間の生活にもっと森を近づけられたら、生活のなかに自然の要素を取り入れられたらと考え、活動しています。

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玉井:間伐も森づくりにおける大切な行為だと知ったのは、7年前にmore treesさんとお付き合いするようになってからでした。

水谷:そうなんですよね。間伐というとネガティブなイメージをもたれる事が多いですし、11年前は今よりももっとマイナスの捉えられ方をしていました。今、日本には戦後いっせいに植えられ、50年以上経ち伐採適齢期を迎えた樹木が多くあります。そういった木は、適正な量を適正な時期に伐採しなくては森林の密度を正しく保つことができませんし、森自体も不健康になります。間伐したあとは、その間伐材を含めた国産材を使って商品を開発するなど、都会の人と林業の地域をつなぐ活動も行っています。

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森林づくりの専門家として、震災支援でできること。

—ユナイテッドアローズ社でも、環境保全のための活動「REDUCE SHOPPING BAG ACTION」が2008年から始まったんですよね。

玉井:はい、実は、スタートした当初は別のパートナーを介して、タイでマングローブを植林する団体に寄付していました。2011年に活動を終了するとのことで、私たちとしては新しいパートナーを探していたんです。いろいろと調べるなかでmore treesさんを知り、2011年の4月から「REDUCE SHOPPING BAG ACTION」の寄付先として話もまとまっていた矢先に、東日本大震災が起きました。

水谷:僕らは震災後すぐに「LIFE 311」プロジェクトを立ち上げ、活動を開始しました。

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—「LIFE311」は、どのように始まったのでしょうか。

水谷:震災当日から2日間、自分たちの専門とする森林の分野で出来ることは何だろう? と自問自答し続け、3日目に思いついたんです。「そうだ、木材で仮設住宅をつくろう」と。今は体育館などを避難先にしている人たちも、その次のフェーズとして、仮設住宅が必要になるはずですから。

そのことを思いつき、すぐに坂本龍一さんにメールしました。「いろいろな障壁があると聞いているけれど、やってみよう」と返事がきて、またその数日後、具体的な動きやアポイントを取りたい団体、今の思いの丈を書いた、迷惑なくらいの長文を送りました。教授(坂本龍一さん)からはシンプルに一行「いいじゃない、やろうよ」と。GOサインが出て、プロジェクトがスタートしました。

まずは行政と連絡を取ることから始めたのですが、これが全然うまくいかず……。建設はここ、住まいはここへと省庁の問い合わせ先が異なり、スムーズに進まない状態が続きました。このままでは僕らの動きも失速すると思ったので、だったら被災地の市町村に直接行って話をまとめるしかないなと考えました。東京から企画書30部と名刺を持って被災地に行き、やっとここから一気に話が進むかと思いきや、これまた空振り。2泊3日さまざまな市町村を訪ねましたが、震災後2週間ではまだそれどころではなく、最後の最後に立ち寄ったのが岩手県の東南部にある住田町でした。

内陸に位置する住田町は直接の被災地ではありませんでしたが、近隣の被災者を受け入れるための木造の仮設住宅をつくり始めていました。地元の工務店にアポイントを取り、名刺と企画書を町長に渡してもらえるよう依頼。「もし僕らのサポートが必要だったら、連絡をくださいと伝えてください」とお願いし、2日後、役場から「よろしくお願いします」と連絡がありました。僕らとしては、木造仮設住宅をつくり始めているのだからすでに資金源も確保しているのかと思っていたのですが、当時の町長は「1日でも早く行動しよう、お金のことはあとから考える」という方針のもと、驚きのスピード感で前例のない木造仮設住宅の建設に着手していました。そこでmore treesとしては、建設にかかる3億円の資金のサポートを行う「LIFE 311」を本格的にスタートさせました。ユナイテッドアローズ社さんも翌年からプロジェクトに参加してくれましたよね。

玉井:「REDUCE SHOPPING BAG ACTION」は、あくまで環境保全のためのプロジェクトでした。会社としては震災支援の活動は別のプロジェクトとして行っていたこと、そして3億円の資金集めは急速にゴールに向かうのでは? と予測していたので、最初の1年はmore treesさんの日本の森づくり活動のための寄付を続けていました。ですが1年経ち、目標の金額に届くまでにまだ時間がかかりそうだということも伺い、森づくりをベースにしたプロジェクト「LIFE311」をご支援しようと決断しました。

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森づくりの向こうには人がいて、生活がある。

水谷:それから6年間、今だに継続して支援いただけているというのは本当に心強いです。しかも金銭的なサポートだけでなく、実際に現地に何度も足を運んでいただけていることも、本当にうれしいことです。

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玉井:東北支援をスタートさせる際に社内でも、これは短期間で終わる支援ではないという話は出ていました。ここまで6年間、お客様の協力があって続けられたのだと思います。また、実際に現地に行って学べたこともたくさんありました。

木造仮設住宅をつくるといっても、単に建築物としてのモノではなく、そこには仮設住宅に住む人がいます。材木である森林の向こうには木を切り出す人、仮設住宅を建てる人、とさまざまな人がいて、その人たちをサポートしている。そのことを伝えていくことが、支援に対するご理解や応援する気持ちにつながるのではないかと感じました。これは直接住田町に行き、町長をはじめいろいろな方とお会いし、一緒に時間を過ごした体験から得られた学びでした。

環境や森づくりのサポートがもちろん大事だということはわかっていても、どこか遠くに感じるというか、実感しにくい側面もあると思います。でも、その向こうにいる人、彼らの生活について伝えていくことで、環境問題や森づくりのことがより身近な問題に感じられると思うんです。

水谷:実際に本当にキャラの濃い人たちばかりですよね(笑)。

玉井:水谷さんに現地をご案内していただき、いろいろな人とお会いしました。本当に温かくて、ユーモアのある方たちばかりで。

水谷:こうやって、ドナーであるユナイテッドアローズ社さんと支援先が顔を合わせていい関係を築くことは、橋渡し役である僕たちにとっても本当にうれしいことです。今、支援金は2億3000万円まで達しました。仮設住宅がクローズされる2020年まで精一杯サポートしていくつもりです。

—more treesとは、「LIFE311」以外での関わりもあるとお聞きしました。

玉井:直近では〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング〉で、〈GLRスタンダード〉ラインの売上げの一部を日本の森づくりのために寄付させていただいています。また、毎年more treesがゴールデンウィークに行っている親子イベント「木とあそぼう 森をかんがえよう」で、「自分だけの花かんむりをつくろう」というワークショップを行いました。

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—最後にmore treesの今後の目標や活動について教えてください。

水谷:僕らの活動は現在、間伐を中心に行っていますが、今後長いスパンで考えると“植える”という行為もしていきたいと思っています。今の森は、全国どこを見てもスギとヒノキばかり。もっと多様な樹木で賑わう森があってもいいのではないか。同じ種類の樹木で構成された森では、その木が暴落した際や、病害虫などによる災害が起きたときに大きなリスクになります。その意味でもいろいろな種類の木があったほうがいいですし、四季を感じられる森はきっと人を呼ぶこともできます。森づくりという、数十年かかる、すぐに答えがでない領域だからこそ、“未来の森とは”を常に想像しながら大きなチャレンジをしていきたいです。

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『LIFE311』の地、気仙地域に暮らし、働き、生きる人々。
岩手県気仙郡住田町。林業の町の「川上から川下」までを追って。


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