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  • 日本のリテーラーの魅力を伝えたい。ユナイテッドアローズ オンラインストアが願いをかけたポップアップinシンガポール。
  • 2018.03.27 TUESDAY

ユナイテッドアローズは、2018年3月15日から4月4日にかけて、シンガポールの「The Monocle Shop」にてPOP-UP SHOWCASEを開催中。店頭でサンプルを見て、オンラインストアを通じてお買い物をする。リアルストアとオンラインストアの融合をはかったこのイベントは、海外でのブランド認知度を高めることを目的としているのだとか。ユナイテッドアローズの海外での取り組みや、今回のポップアップイベントの見どころについて、海外事業推進部の菅原 賢さんにお尋ねした様子を、現地からお届けします。

Photo : Yuhki Yamamoto
Coordinate : Saya Oshima
Text : Ayako Tada
Illustration:Masashi Uno

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海外での取り組みでは、ブランドそのものと、その良さを、いかに短期間で伝えていくかがポイント。

−今回のシンガポールでのポップアップイベント開催に至った経緯を伺う前に、まずはユナイテッドアローズの海外での取り組みについて教えてください。

台湾で4店舗を展開中です。また、香港に卸しの提携先が2店舗あるほか、〈カモシタ ユナイテッドアローズ〉をアメリカ、イギリス、香港などにも卸しています。これまで、海外のお客様は店頭でしか商品をご購入いただけなかったのですが、海外在住者を対象とした購入代行サービス「Buyee」を、2017年6月より「ユナイテッドアローズ オンラインストア」に付加させ、海外のお客様向けのサービスをスタートさせました。これにより、より多くの海外のお客様に当社商品のお買い物を楽しんでいただけるようになりました。

−海外で事業を行うにあたって、心がけていることや大切にしていることはありますか?

当社のキーワードに「ヒト・モノ・ウツワ」があります。この3つがそれぞれ高いクオリティでバランスよく展開できることを大切に考えています。海外で事業を行う際、モノに関しては日本や生産地から日本と同様のモノが届けられますし、ウツワの部分でも、設計図と素材が調達できれば同様の環境ができるんです。ただ、私たちの商品と世界観をお客様に届ける最終的な存在は、ヒト。現地でスタッフを採用し、育成していく必要がありますので、どのようにして現地で高い接客レベルを維持するかについては、常に現地スタッフと議論しながら進めていくことが重要です。

−現地スタッフとともに事業展開をすることで気づきを得たり、学んだりすることも多いのでしょうね。

そうですね。たとえば台湾では、女性やご老人に対して敬う気持ちが日本より強く根付いているので、お客様に対する立ち居振る舞いが自然です。こういったナチュラルな優しさを日本にもフィードバックすると、社全体でもっといい空間やサービスが提供できるようになるのではと感じているところです。また、改めて認識したのは、いざ国外に出てしまうと、我々が日本で培ってきたユナイテッドアローズとしての安心感や認知度がほとんどないのです。よって、海外での取り組みにおいては、我々のブランドとその良さを、いかに短期間で伝えていくかが大切なことだと考えています。

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−約30年の実績がある日本とは、また違ったアプローチが海外では求められるのですね。

今回のポップアップイベントは、まさにその一環と言えます。ユナイテッドアローズの商品をオンラインストアで購入できることを海外のお客様に知って頂くためのイベントなんです。


海外のお客様と継続的なコミュニケーションを取っていくために考案した、オンラインストアを使ったイベント。

−ポップアップイベントの内容について、詳しく教えてください。

本イベントはグローバルメディアの「MONOCLE」とコラボレートしています。彼らが運営する「The Monocle Shop」シンガポール店の一画をお借りして、ユナイテッドアローズの自社ブランドのサンプルアイテムを並べました。実際にサンプルを見て、ブランドについて知っていただき、Buyeeでより多くの商品を見て、ご購入を検討していただくというものです。

−リアルストアとオンラインストアが融合したようですね。リアルストアに見に行きながらも、その場で買うことができないジレンマもありそうですが……。

そこは我々としても悩みどころではあったんです(笑)。ただ、イベント期間中に買っていただく1回限りのお付き合いではなく、オンラインストアの存在を広め、お客様と継続的なコミュニケーションを取っていくことが重要だと考えました。

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−シンガポールを選んだのには何か理由があるのですか? というのも、東南アジアエリアのECマーケットは、シンガポールとマレーシアの2カ国でシェアの半分を占めると言われるほどエリア内では活況ですが、世界と比較すると、まだまだ小さな市場だと思うんです。

理由は2つあります。1つは、インターネット上の情報へのリアクションが、シンガポールは非常に高いこと。弊社の〈ユナイテッドアローズ〉クリエイティブディレクターである鴨志田(康人)と〈ユナイテッドアローズ アンド サンズ〉のディレクターの小木(基史)が、2017年10月に米メンズファッション誌「GQ」の「ベストニューメンズウェアデザイナーズ」を受賞しました。この時、2人のインタビューをウェブサイトに掲載したんです。日本語と英語の二ヶ国語で公開したところ、シンガポールからのリアクションが多く得られました。そこでシンガポールに着目し、そしてそこで何かを行うならオンライン施策が有効だと考えたのです。また2つ目は、東南アジアエリアからの日本の店舗への来店者数の増加。シンガポールでポップアップを展開することで、東南アジア全体への波及効果を狙っています。

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−なるほど。「The Monocle Shop」の一画がユナイテッドアローズ全体のショウケースとなるわけですが、どのようなブランドやアイテムを持ってきたのですか?

自社ブランドの主力である〈ユナイテッドアローズ〉、〈グリーンレーベル リラクシング〉、〈ビューティアンドユース〉に加え、アワードをいただいた鴨志田の〈カモシタ ユナイテッドアローズ〉の中から、感度の高いMONOCLEファンに向けたメンズアイテムを選びました。「The Monocle Shop」があるホランド・ヴィレッジ地区は、昔は英国軍人が暮らしたエリアで、いまも欧米人が多く在住する住宅街と聞いていたので、その様子をイメージし、気候に合った薄手のスーツなど重衣料のシェアも増やしています。

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「スーツもあれば、スポーツテイストのものもある。ユナイテッドアローズは、このバリエーションの豊富さがおもしろいね。1点1点にいろんな物語があるから、お客さんに早くそのストーリーを伝えたいよ。持ってきてくれた招き猫の置物もかわいくて、お客さんとの会話の糸口になりそう」(The Monocle Shopスタッフ ハーマン・シャーさん)


欧米とは異なる文化で育ってきた日本人の視点は、海外のお客様の目に新鮮に映るはず。

−セレクトのキーワードがあれば教えてください。

我々は日本を拠点としたリテーラーですので、日本で生産されたもの、日本の素材を使ったものに絞り込みました。と言っても、クラフトマンシップを過度に強調するものではなく、カラーレーションや素材の最終的なタッチだったり、丁寧な縫製を施した上品さだったりと、欧米ブランドとは違う仕上がりや雰囲気を感じていただけるものをそろえています。特に機能性の高い素材に着目いただきたくて、たとえば小松精練と共同開発した素材は一見すると天然のウール素材のようですが、実は吸湿速乾機能や撥水機能を搭載させた合成繊維。高温多湿なシンガポールのファッションシーンにも合うはずです。

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「ユナイテッドアローズの商品はどこ?」と、ポップアップ目当ての来店客が続々と現れた初日の様子。ジャケットに興味を持つ人が多く、立体的なフォルムや軽さに感心したり、オンライン購入のためにサイズ感を確かめたり。

−学力重視のシンガポールでは、昨今、その反動的に若者の間でモノづくりへの関心度が増しています。そういった日本の技術的な部分は、興味を強く引きそうです。日本のリテーラーが海外に提供できる「価値」には、ほかにはどのようなものがあるのでしょうか。

視点ではないでしょうか。国が違えば視点も変わりますから、欧米とは異なる文化で育ってきた日本人の視点は、海外のお客様の目にも新鮮に映るのではと期待しています。弊社でいえば、我々がもっとも得意とするのは、スタイリングの提案です。数千円のカジュアルアイテムから10万円以上するフォーマルアイテムまで店頭にそろえ、スポーツ×ミリタリーやフォーマル×スニーカーをバランス良く提案できる視点を、個人店ではなく多店舗展開する店で保てていることは、世界と比較しても特殊なことだと思います。

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シンガポールの人気セレクトショップ「COLONY CLOTHING」ではユナイテッドアローズのハウスレーベルをセレクトしている。「このオレンジカラーはユナイテッドアローズ独特のものだ、このブラウンはカモシタらしい、といったように、ユナイテッドアローズはシンガポールではセレクトショップとしてではなく、1つのブランドとして認知されています。そこで私たちも、各ブランドのマインドが明確なもの、作り手の想いに共鳴できるものを中心にセレクトを心がけています。「わかりやすくかっこいい」の次のレベルを求める海外のお客様からの支持を得ていますよ」(COLONY CLOTHINGダイレクター 河村浩三さん)

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「ジェットセット」、「ラグジュアリー・リゾート」をテーマに各国からセレクトしているCOLONY CLOTHING。「時代とともに日本ブランドの人気も高まっています」(河村さん)


−今後もこういったポップアップイベントなど、海外での取り組みを強化していくご予定ですか?

どこの国やエリアで当社のブランドがどういう反応を得られるのかを見る、テスト的な動きを考えていきたいです。台湾や今回の実績を踏まえ、アジアや欧米問わず、需要がある場所にしっかりご提案していきたいと思います。

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