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  • ウツワ UTSUWA
  • 清永浩文さんに聞くこれからのポップアップのあり方。
  • 2017.12.07 THURSDAY

〈ユナイテッドアローズ&サンズ〉では、このたびSOPH.代表の清永浩文氏が福岡で展開しているショップ〈KIYONAGA&CO.〉とのコラボレーションを実現。KIYONAGA&CO.が4月のオープン以来続けている実験的ポップアップの第6弾として、〈UNITED ARROWS & SONS FUK EXPERIMENT〉が12月2日から24日まで開催されます。期間中は、KIYONAGA&CO.の店舗の一部にて、ユナイテッドアローズ&サンズが〈ノンネイティブ〉、〈ヒューマンメイド〉、〈フジト〉の3ブランドとそれぞれコラボレーションしたアイテムや、KIYONAGA&CO.とのダブルネームのアイテムなどを用意しています。今回は、そんなこれまでにないスペシャルなプロジェクトの様子をお届けしながら、清永さんご自身にこれからの時代のポップアップのあり方について語っていただきました。

Photo:Go Tanabe
Text:Kai Tokuhara

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あえて個人的な付き合いや縁のある人たちとだけ組むようにしている。

ーKIYONAGA&CO.では、今回のユナイテッドアローズ&サンズとのコラボレーションで早くも6回目のポップアップ開催となります。清永さんにとって、「ポップアップ」とはどのような意味合いの仕事なのでしょうか。

よく地方のセレクトショップなどが注目するブランドをピックアップしてやっているのとは少し違って、うちのポップアップはより実験性に重きを置いていて、どちらかというとティーザー的、テストマーケット的な意味合いが濃いように思います。今回も、ポップアップのタイトルに“EXPERIMENT”と入れているように、これまでのサンズにはなかったものを期間限定で伝えたいというところが大きいですね。だから僕としては「ユナイテッドアローズさん、うちを使ってちょっと新しいことを試して見てください」という感覚なんですよ。

ール・コルビジェとピエール・ジャンヌレにフォーカスしたGALLERY-SIGNとの取り組みからスタートし、ホワイトマウンテニアリングと組んだ前回の〈WHITE MOUNTAIN EXPERIMENT〉まで、様々な垣根を超えたポップアップを展開されてこられましたが、コラボレーション相手の選定に清永さんなりのルールのようなものはあるのでしょうか。

1つ決めているのが、KIYONAGA&CO.では知らない人とモノ作りをしないということ。ここではあえて個人的な付き合いや縁のある人たちとだけ組むようにしています。そこはSOPH.との大きな違いかもしません。例えば、普段食事などの席で、「今度こういうのできると面白いんじゃない?」というように何気なく会話の中から生まれるアイデアってあると思うんですけど、この店ではそういうものを形にしていきたいといいますか。

ーまさに、今回も小木(基史)さんとの関係性があってこそのプロジェクトだったわけですね。場所が福岡、というところもやはり大きいですか?

そうですね。これが青山でやっていますということだとニュース性に欠けると思いますが、福岡だから注目して来てくれる人も多い。東京でも、例えばビームスでユナイテッドアローズのポップアップをやるっていうのならものすごく話題になると思いますけど(笑)。まぁ、本来はそれくらいグチャグチャにしていかないと。ファッション界に既成概念というものがあったとして、それを思い切って崩していかないと消費者の方々に面白がってもらえない時代になってきているとも思いますから。

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世界的にスーベニア感のあるアイテムがスタンダードになっている。

ー実際のところ、今回ユナイテッドアローズ&サンズと組んでポップアップを展開するにあたって心がけたのはどのようなことでしょうか。

まず、福岡にはないサンズのポップアップをやるということ自体がとても意義のあることだなと。それに、今日本のファッションの顔を3人挙げろと言われたら確実に小木くんが入るわけじゃないですか。それはすごいことですし、彼のキャラクターというものを東京のサンズ以上にシンプルかつストレートに伝わるようなポップアップにできればとは思いましたね。

ーポップアップ用のアイテム作りに際して、清永さんから小木さんへ具体的にどのようなリクエストがあったのでしょうか?

東京のサンズの店を見させてもらった上で、トレンドの流れと小木くんのキャラをふまえて普段よりも少し肩の力を抜いてアイテムを作って欲しいというリクエストはしました。「ロゴだけでいいんじゃない?」と。ユナイテッドアローズ自体はビシッとモノづくりをする会社ですが、逆にそこに力を入れすぎないでっていう。なるべく安く買えるスーベニア的なアイテムにしましょうと。

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ユナイテッドアローズ&サンズと関わりの深いブランドの中から〈ノンネイティブ〉、〈ヒューマンメイド〉、〈フジト〉をピップアップ。そこにKIYONAGA&CO.とのダブルネームアイテムも加わる。いずれもロゴを前面に打ち出しているのが特徴。

ーたしかにユナイテッドアローズ&サンズのロゴアイテムというのはこれまでありそうでなかった。究極にシンプルなアプローチですが、それがむしろ新鮮に思えます。

セレクトショップの皆さんが、自社ロゴを商品にのせることに対して抵抗があるのはすごくわかるんです。僕も最初は、自分の名前を店名にして、でかでかとTシャツとかスウェットにのせるのはどうなんだろうと思いましたから。でも一ヶ月くらいで慣れましたし(笑)、いまではそれが普通という感覚にもなった。おそらく世界中の“ポギー”ファンもそういうアイテムを求めているんじゃないかと。彼らはたぶん、日本に遊びに来てサンズに行ったらそういうロゴものが買えると思っているはずなんですよ。でも今まではなかった。それを今回福岡でやろうと。

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ーおっしゃるように、スーベニアライクなアイテムというのが今や世界のスタンダードになっている感じはしますよね。

NYやロンドンに行ってもそう。世界的にスーベニア感。〈KITH〉のアイテムなんてまさにそうですよね。日本のアパレル界には、どこか「同じことをやっちゃいけない」という風潮がありますが、今の時代は「変えない」、「続ける」勇気も必要で、加えて誰が作っているアイテムなのかが明確にわかることが大事。

ーそれこそ、今年の4月から様々なポップアップを続けてこられた中で見えてきたことなのでしょうか。

年々、多くの人のライフスタイルにおいて「お店で洋服を買う」ことの優先順位が下がってきているように思います。東京でも常々そう感じていましたが、福岡ではより顕著に伝わってきます。洋服で自分を飾り立てようとする人は少ないですよ。

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オープン前日には、ユナイテッドアローズ&サンズチームも到着。ディレクター小木氏が自ら店内の最終チェックを行った。


「やられた感」のある既成概念を変えるモノ作りが必要になるはず。

ーそんな時代において、KIYONAGA&CO.の店作りで大切にしていきたいこととは。

それこそ「ヒトとモノとウツワ」ですよ。さきほども話したように、KIYONAGA&CO.の店作りは来たる時代へのテストマーケティング的な意味合いもあるので、自分でもどんな店になっていくかは未知数。「リアルショップ」の生き残り方の勉強中というところでしょうか。うちはECもないし卸しもやっていないので福岡の店まで来てもらわないといけない。「モノ」の鮮度をどう保ち、「ウツワ」にどう来てもらうか。それを常に考えていますね。僕自身がNYやロンドンで日本に売っていないものを探すように、九州に行ったらKIYONAGA&CO.でお土産を買って帰ろうと思ってもらえるような店にしていきたい。売り上げよりも、買い物本来の価値や楽しさを伝えたいなと思います。

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ーほんの15年、20年前はそれがショップの当たり前の姿だったようにもおもいます。今また、それが新しく見える時代なんですね。

それを求めてサンズに来ている人は僕らが思っている以上に多いと思いますよ。だから、今回うちでポップアップをやってもらっているような感じで今後はセレクトショップのサテライトみたいな店があっても面白いかもしれないですね。以前にエイチ ビューティ&ユースで山本康一郎さんの「スタイリスト私物」のポップアップがあったように、既成概念を変えるモノ作りがもっと必要になってくるはず。「やられた感」といいますか。それはKIYONAGA&CO.だけじゃなくSOPH.の方でも常に心がけています。力が抜けていてユーモアがあって、どこか「バカだな」って思わせられるモノ作り。ユナイテッドアローズ&サンズでも、今回のポップアップをきっかけにそういうアイテムが増えるといいなと思います。

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