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  • 知れば知るほど楽しくなる、ニットにまつわるエトセトラ。
  • 2017.11.30 THURSDAY

思わず玄関から出るのを尻込んでしまうほど身を切るような寒さが続くこの時期、ワードローブの主軸になるのがニットです。誰もが親しむファッションの定番品目だけに、星の数ほど多くのブランドから個性豊かな製品がラインナップされていますが、一口に“ニット”と言っても種類はさまざま。ここではその歴史や大まかな種類、素材別の特性などなど…知れば知るほど楽しくなるニットの基本知識をおさらいします。

Photo:Takeshi Wakabayashi
Text:Masato Kurosawa

普段慣れ親しんでいるニットの背景にある歴史。

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“ニット”とは、獣毛や化繊などの糸で編まれた衣類の総称。簡単に言うと編んで作られた衣類なら全てニットの一種であるとされています。一説によると、なんと現存する最古のものは紀元前5000年代にエジプトで作られた動物を包むために作られたニットだそうで、どうやら文明が発祥して間もない頃から人類にとって身近なアイテムとして重用されていたようです。

9世紀初め頃にスペイン経由でヨーロッパに伝わり、その後各地へ伝播していったとされ、英国の一部地域では“ジャンパー”、イタリアでは“ゴルフ”とも呼ばれるなど、今では世界中に普及。伸縮性に富んで風合いも素朴、デザインの自由度も高く、ファッションには欠かせないアイテムとしてすっかり身近な存在になっています。

定番ファッションツールとして浸透しているからこそ、最近では雑誌をはじめ、各メディアでも頻繁にニットの特集が企画されていますが、そこでよく目にするのが「ゲージ」と言う言葉。これはニットの編み目の大きさを表す単位で、数値が大きければ大きいほど編み目は細かくなっていきます。

一般的に5ゲージ以下を“ローゲージ”、6〜11ゲージまでを“ミドルゲージ”、12ゲージ以上を“ハイゲージ”と呼び、ローゲージは編み目が粗めでザックリとした素朴な雰囲気が特徴。反面、ハイゲージは編み目が細かく、精かんで洗練された印象が魅力です。ゲージごとの特徴を把握すれば、より自分好みのニットをセレクトできるはずです。


ニットの豊富な種類と奥の深さが、おしゃれ心を湧き上がらせる。

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またゲージ(編み目の大きさ)以外に、使われた糸の素材でもニットは分類されます。最もポピュラーな素材が「ウール」。品種や糸の撚り方によっても特徴は異なりますが、大抵のウールニットはシワがよりにくく、吸湿性と保温性に富み、型崩れしにくいという利点があります。また高級なニットの代名詞となっている「カシミヤ」は、非常に毛が細く、美しい光沢があり、柔らかで滑らかな手触りが特徴。チクチクするのが嫌だから…と、ニットを敬遠している人でもストレスフリーな着心地が味わえるはずです。

他にもカシミヤに匹敵するほどソフトで手触りのいい「ラクーン」や、軽くて暖かい「キャメル」、とにかく保温性抜群で汗の発散性にも優れる「アンゴラ」、繊維の宝石とも称され、カシミヤよりも細くて柔らかくて希少な「ビキューナ」などなど、実に多くの獣毛がニット用の素材として使用されています。

またそうした動物性の天然繊維以外に「コットン」や「リネン」、「シルク」等々、植物性の天然繊維もニットの代表的な素材のひとつ。デザインが似ていても素材が異なれば、見た目の雰囲気や着心地なども変わるもの。こうした奥の広さが、お洋服好きな方々にニットが好まれる理由のひとつなのかもしれません。


伝統と継承がうかがえるニットの魅力。

さらにゲージや素材の種類と並んで“編み柄の違い”も、ニットの代表的な分類方法と言えます。編み柄が個性的なニットの代表格といえば、やっぱり「アランニット」。これはその名の通りアイルランドのアラン諸島を発祥とする、縄目やひし形などの模様編みを特徴とするニットの一種で、本来縄目には漁師が使う命綱や、農夫の収穫を束ねる綱などの意味があるようです。凹凸感があって温もりのある雰囲気は唯一無二。その独特の存在感をコーディネートに活かす方も年々増加傾向にあります。

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またアランニットと並んで人気を博しているのが「フェアアイルニット」。これはスコットランド北東に位置する、シェトランド諸島のフェア島発祥のニットで、カラフルな色使いや幾何学模様を取り入れた編み柄が特徴。元々は漁師の家紋をあらわしたものだったようで、かの伝説的ウェルドレッサー、ウィンザー公がゴルフウェアとして愛用していたことから、広く知られるようになったようです。

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他にも世界的に有名なのが「チルデンニット」。これは20世紀初頭に活躍した英国のテニスプレイヤー、ビル・チルデンが着用していたことから名付けられた和製英語で、Vネックや袖口にラインの入れられたデザインが特徴。今ではトラッドスタイルの定番アイテムとして浸透しています。

「ゲージ」、「素材」、「編み柄」と、代表的なニットをダイジェストでおさらいしましたが、これは数あるニットのほんの一部。他にも数え切れないほどのニットが存在しています。いずれにしろ、ニットは暖をとりつつファッションも楽しめる、数少ないアイテムのひとつ。寒さの厳しい時期も、ニットを楽しむうえで最良のシーズンと思えば、少しは気が紛れるかもしれませんね。

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