ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

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  • バイヤーが信頼する〈YSTRDY’S TMRRW〉というブランドとは?
  • 2017.08.10 THURSDAY

10年間〈nonnative〉のアシスタントデザイナーを務めた管野寿哉さんが今シーズンよりスタートする〈YSTRDY’S TMRRW〉は、〈ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ〉が今季プッシュするブランドのひとつです。バイヤーである藤橋亨平さんとデザイナーの管野さんは旧知の仲。だからこそ、藤橋さんは「厳しい目でこのブランドを見る必要があった」と話します。その言葉の裏側には、長年お互いの動向を見てきたふたりだけが知る苦難や喜びの物語がありました。昔話を交えながら、このブランドにかけるふたりの想いを語ってもらいましょう。

Photo:Kousuke Matsuki
Text:Yuichiro Tsuji

一緒に仕事をするようになっても関係が崩れることはなかった。

―おふたりの出会いはいつ頃なんですか?

管野:もう10年以上前かな? ぼくが20代の前半に知人と一緒にやっていたブランドの展示会に藤橋くんが来てくれたんですよ。そのときは、すごく腰の低い人という印象でした。

藤橋:お店の先輩に連れられてお邪魔したんですけど、販売員だったぼくは展示会に行くという行為がうれしくて仕方なかったんです。デザイナーさんと会う機会って、お店でやっている商品説明会くらいしかなかったから。いざ会場に着くと、管野くんはフランクに話しかけてくれて、なんとなく接しやすさを感じたのを覚えています。

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―そこからどう親交を深めていったんですか?

管野:イベントや呑みの場で偶然会ったりして、徐々に話すようになったんです。ぼくは服屋で働いている友達が少なかったので、藤橋くんは珍しい存在でした。会うと藤橋くんの着ている服が目に留まることが多くて「この人もしかして古着が好きなのかな?」って思いつつ、なんか気になったんでしょうね(笑)。ぼくも古着が好きだったから。

藤橋:お互い年齢が近いということもあって、通ってきたカルチャーも似ているから、気づかないうちに信頼感みたいなものを感じていたのかもしれません。でも、服とか趣味の話を具体的にするというのは、いままでなかった気がする(笑)。それこそ最近ですよ、「意外と古着好きだよね?」って言われたのは。

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―プライベートで仲良かった者同士が、今度は仕事で接するようになって、それまでの関係に影響が出たりしないんですか?

管野:ぼくはどちらかというと、プライベートで仲良い人のほうが仕事がしやすいんです。なんでも話せるし、伝えたいことを伝えられるから。だから一緒に仕事をすることになっても、やりづらさとかは全然感じなかったですね。

藤橋:ぼくも同じですね。ただ、仕事をする上では責任感や緊張感を持つことが必要です。だから、急に会話のなかに敬語がでてきたりして、いままでなかった空気が生まれたりしましたけど、これまでの関係性が崩れるというようなことはなかったですね。


デザイナーがファッションに対する考えをどう表現しているかが大事。

―藤橋さんが〈ノンネイティブ〉の買い付けの担当になったのはいつ頃のことなんですか?

藤橋:2年くらい前です。管野くん自身もその頃にはブランドの大きな柱になっていて、別注企画に関してやりとりをすることが増えていたんです。

管野:ぼくが「自分のブランドを持ちたいな」と、ぼんやり考えだしたのもその頃ですね。当時は気持ちの余裕ができはじめた時期でもあって。〈ノンネイティブ〉での役割を果たしながら、一方では「こんなこともできるんじゃないかな?」となんとなく思い描きはじめたんです。

藤橋:管野くんは、むかしから服をつくりたいというモチベーションが高かった。だから〈YSTRDY’S TMRRW〉を立ち上げるとなったときも、なんの驚きも感じませんでした。とはいえ、彼自身のブランドとなると、15年前に展示会で見たもの以来になるので、どういったものを見せてくれるのか、ちょっとドキドキした気持ちでいました。

管野:心配してくれてたの(笑)? 「友達のつくる服がダサかったらどうしよう」みたいな?

藤橋:まぁ、そんな感じ(笑)。15年前と比べるわけじゃないですけど、そのあいだにいろんな経験を積んできているし、その当時の服とはまったく違うものになるだろうというのは分かっていました。ただ、それがどう表現されるかはまったくの未知数だった。仕事柄、ぼくはいろんなデザイナーに会うんですが、その人のピュアな部分や、ファッションに対する考えをどう表現しているのか? というところに注目するようにしているんです。いわば、そこがブランドのいちばんの旨味だと思うから。

―つまり、デザイナーのアイデンティティーが服にどう落し込まれているのか? という部分を探っていると。

藤橋:そうです。「ビューティ&ユース」はセレクトショップである以上、“◯◯っぽい”ブランドは必要ない。逆に言えば、その人にしかつくれない服に惹かれるわけです。

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―実際に〈YSTRDY’S TMRRW〉のコレクションをご覧になられて、いかがでしたか?

藤橋:ぼくらはもう10年以上の付き合いなので、お互いの苦労や喜びを知る仲なんです。でも、仕事である以上はそういった情のようなものを省いて、フラットに彼のコレクションを見る必要がありました。むしろ、普段より厳しい目で見たといっても過言ではありません。そう意識していたんです。

―なるほど。

藤橋:でも、抜群によかったですね。「90年代」、「古着」というキーワードを
しっかりとモダンなファッションに落し込んでいたし、いまの気分もちゃんと添えてあった。単なる懐古的な服ではなかったんです。彼の考えや、通過してきたスタイルがピュアに表現されていて、唯一無二のブランドだな、と感じました。

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―いまの言葉を聞いて、管野さんはどう思いますか?

管野:本来ならぼくが喋るべきことをすべて話してくれました(笑)。ファーストシーズンだし、自己紹介的なコレクションになると思ったので、ピュアに自分自身が表現できればいいかな、と。なおかつ、「このブランドのデザイナーはきっと服が好きなんだろうな」と思われるようなコレクションにしたかったんです。


現場にいるスタッフやお客さまがデザインのヒントを与えてくれる。

―「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ」の別注アイテムとして、「レッド・ホッド・チリペッパーズ」のプリントTシャツをつくっていますよね? これはどんな経緯で生まれたアイテムなんですか?

藤橋:レッチリに関しては、元々気になっていたところにグラフィックを使った商品企画を出来る環境がタイミングよく整ったんです。、そこでピンときて管野くんに声を掛けたんです。レッチリは90年代を象徴するバンドだし、彼のブランドとの相性は抜群だと思ったから。

管野:藤橋くんから電話がきたとき、正直悩んだんです。確かにレッチリは90年代を代表するアメリカのバンドだけど、表現がストレートすぎないかな、と。ただ、今シーズンのキーワードである「90年代」「古着」という当時、通っていた古着屋さんではレッチリの曲がかかっていて印象的だったのを憶えていたり、去年のフジロックで彼らの演奏を見て魅力を再確認したこともあったし、やるからにはカッコいいものをつくってやろうという気持ちでデザインしました。

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「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 渋谷公園通り店」のウィンドウディスプレイも〈YSTRDY’S TMRRW〉のカラーに染まった。施行はブランドの運営会社であるTNP.co.,ltd.が担当。カセットテープやキャラクターもののフィギア、ぬいぐるみを置くなどして、90年代のアメリカ映画で描かれたような子供部屋の風景を再現した。

藤橋:これはぼくの個人的な想いですけど、彼にはプリントTシャツをつくるときは今回の別注企画というわけではないですが、アメリカのカルチャーを反映させたリアリティのあるものを作ってもらいたいなと思っているんです。自分が持っているルーツを表現していくことが、このブランドのユニークなポイントのひとつになるんじゃないかと思っているので。

―「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 渋谷公園通り店」ではポップアップ・イベントも開催していましたね。デビューブランドをこういった形で大々的にフィーチャーするのはよくあるケースなんですか?

藤橋:珍しいです。ただ、ぼくらがお客様に届けたいのは、進化したものであったり、驚きであったり、半歩先の提案なんです。それをお客様にご理解いただくことで、満足が感動に変わると思います。バイヤーとしてそういった感動を届ける義務があると思っています。〈YSTRDY’S TMRRW〉はそれにふさわしいブランドだと思うし、他にも提案力のあるブランドを見つけることができれば、今後もこういった取り組みを行なっていきたいと思っています。

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ポップアップ・イベント開始の前夜、管野さん自らお店へ足を運び、商品説明会を実施。90年代の雑誌などを持参してスタッフに自身のルーツを説明。「服をつくる上で刺激になるものは?」というスタッフからの質問に対して、「こういう場所でスタッフのみなさんとコミュニケーションを取る。それがぼくにとって大きな刺激になります」と答える姿が印象的だった。

管野:自分が青春時代を過ごした渋谷という街で、こうしてフィーチャーしていただけるというのは、本当にうれしいですね。自社で運営しているショップも大事なんですが、それとはまた別のお客様に見てもらえるというのは単純にチャンスだと思うので。

―素直に、どんなことを期待していますか?

管野:服をデザインするのはぼくだけど、そのヒントをくれるのは現場にいるスタッフやお客様なんです。そういった人たちがどんな声を届けてくれるのか、それが楽しみです。自社とは別のところで大きく展開するということで正直不安もあるけど、とにかくレスポンスが気になります。

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袖を通すことで“いまの気分”になれるかどうか。

―最後に、お客様に〈YSTRDY’S TMRRW〉のどんなところに注目して欲しいか教えてください。

藤橋:ブランド名にある通り、“いまの気分”になれる服だと思うので、そこを感じ取っていただけたらうれしいです。どこかに一着取り入れただけで新しい感覚が生まれるというか。「昨日の明日=今日」という意味をふまえて袖を通していただければと思っています。

管野:本当にそれに尽きるよね。ファッションだし、楽しく着てもらえることをモットーにデザインしているので、ワードローブにある服と自由に組み合わせてもらいたいと思っています。それで「なんかおしゃれだな」とか、「いまっぽいな」とか、そんな気持ちになってくれたら言うことはないかな。かっこ悪い言い方になっちゃうけど、袖を通すことでハッピーになって欲しいです(笑)。

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