ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

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  • 年に2回、洋服ときちんと向き合う機会。衣替えにまつわるあれこれ。
  • 2017.06.22 THURSDAY

6月1日は衣替えの日。制服を着ていた学生時代、昨日までの冬服がこの日から夏服に変わって、教室の風景が一変したように感じたことを思い出します。四季がある日本に暮らす私たちは、季節に応じて着るものを変えますが、特に夏と冬が始まる前に行われる衣替えは、世界でもユニークな習慣。今回は、そんな衣替えについて考えてみます。

Photo:Takeshi Wakabayashi
Text:Aya Kenmotsu

江戸時代には年に4回。衣替えの長い歴史。

衣替えは、もともと中国の宮廷で行われていた風習。旧暦の4月1日と10月1日に、夏服と冬服を入れ替えていました。それが、平安時代の頃に日本に伝わり、貴族社会を中心に、独自の習慣として発展していったのだそうです。着るものだけではなく、扇も、夏は紙と竹製、冬はヒノキ製に。当時の人たちはきっと、いそいそとお気に入りを取り出しては、季節の訪れを楽しんだことでしょう。

江戸時代になると、武家社会にも衣替えの習慣が浸透していきました。文化が広く発展し、着物の種類も増えたため、衣替えは年に4回に。旧暦の4月1日から5月4日までは裏地が付いた「袷(あわせ)」を、5月5日から8月末までは裏地なしの「単衣(ひとえ)」と「帷子(かたびら)」、9月1日から9月8日までの1週間は再び「袷」、そして9月9日から翌年3月末までは綿の入った「綿入れ(わたいれ)」を着ることが幕府によって定められ、武家だけでなく、一般庶民もこれに従いました。衣替えが4回なんて、なんだか慌ただしいような気もしますが、武家社会らしい規律であるともいえます。

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明治になると、近代化の波のなか、西洋に追いつき追い越せで、政府は役人、軍人、警察官の制服を洋服とし、夏服と冬服をつくりました。明治6年から採用された新暦(太陽暦)により、現在の6月1日と10月1日が、衣替えの日となったのです。


お気に入りの衣類を長持ちさせる、収納前のケア。

新しい季節を迎える準備でもある衣替え。夏物を出しながら、昨年の夏を思い出したり、今年の夏への期待を膨らませたりするのは楽しい時間です。と同時に、お世話になった冬服としばしのお別れをするために、お手入れをすることも、衣替えの重要な行程。

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湿気の多い日本では、衣類収納の大敵はカビと虫。まずはしっかり汚れを落とすことが大切です。衣類の隅々までチェックして、汚れやシミがあればケア。便利なお手入れグッズもいろいろあるので、上手に利用しましょう。デリケートなアイテムはクリーニングに出し、自宅でケアできるものはいつもより丁寧にお洗濯。おしゃれなランドリーアイテムや、よい香りのする洗剤があれば、鼻歌交じりでお手入れを楽しめます。

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きれいになった衣類は、「虫干し」しましょう。晴れの日が続いた天気のよい、空気が乾燥した日に、衣類を陰干しし、風に当てます。この収納前のひと手間が、カビや虫の原因になる湿気を追い出し、衣類を長持ちさせるのです。余談ですが、毎年秋に行われる奈良・正倉院の「正倉院展」は、宝物の大規模な虫干し。この習慣のおかげで、私たちは普段は見られない、国宝などの貴重な品々を拝めるというわけです。

衣類につく虫の大好物であるウール製品のケアは、特に念入りに。虫干しの後、ブラッシングをすることで、ホコリを取り除き、虫の発生を抑えることができます。ふんわりとした風合いを長く楽しむためにも、ぜひ優しいケアを。

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収納にもひと工夫を。洋服をケアすることで心も晴れやかに。

しっかりとお手入れができたら、いよいよ収納。昔ながらの桐のタンスや衣装箱は、通気性がよく、湿気に強く、防虫効果もあるので、収納には理想的です。密閉できるプラスチックの衣装ケースも、湿気や虫対策には効果的。扱いやすい衣装ケースもいろいろありますので、収納場所や住宅事情に合わせて、適したものを選んでください。

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収納の際には、あまり衣類を詰め込むと、シワや傷みの原因となるので、容量には少し余裕をもたせて。ウール製品など湿気を含みやすいものは、上の方に置きます。防虫剤や除湿剤を入れる場合は、衣類の素材との相性を確認することも大切。

また、クローゼットでも押し入れでも、収納場所にときどき風を通すようにすると、衣類にとってはなお快適。コートやジャケットなど、ハンガーで保管するものについても、同様に風を通すことが、カビや虫防止につながります。さらには、フレグランスを吊るしたりすることで、次の衣替えシーズンにほのかな香りを放ち、心地よい気分になれます。

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ある日を境に、いきなり季節が変わるわけではないのに、「この日」と決められている衣替え。日本ならではの、よく考えればなんだか不思議な習慣ですが、自分の持っている服を総ざらいしながら、「今の自分に必要なものは何か」「どんなふうに暮らしたいか」を考えることのできる、年に2回のよい機会。1枚1枚、洋服を手に取り、自分と向き合う時間をもつ。それは、忙しく過ぎ去る日々のなかで、ついおろそかにしてしまいがちな“丁寧な暮らし”に想いを馳せる、大切な時間になるはずです。

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