ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

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  • ヒト HITO
  • “カッコイイ”アロハシャツを追い求めて。
    「コナベイハワイ」デザイナーKC木内さんの頭の中。
  • 2017.06.08 THURSDAY

2007年より、ビューティ&ユース ユナイテッドアローズがコラボレーションし続けている正真正銘のメイド・イン・ハワイブランド〈コナベイハワイ〉。設立者であるKC木内さんは、若かりし頃に魅了された1950年代のヴィンテージアロハシャツのテイストを、独自の色彩感覚とエッセンスを加えながら現代に甦らせている稀有なデザイナーです。そんな木内さんに、ハワイ・ホノルルにある「コナベイハワイストア」にて、ブランドの生い立ちやUAとの取り組み、さらにはハワイでの暮らしとモノ作りについてなど、アロハシャツにまつわるさまざまな思いをじっくりと語っていただきました。

Photo:Shunya Arai
Text:Kai Tokuhara

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移住を決心させた、ヴィンテージアロハへの思い。

−まずは、木内さんがここハワイで〈コナベイハワイ〉を設立されるに至った経緯からうかがえますか?

最初からアメリカに居つくつもりで91年の冬に日本を出て、ラスベガスで旅行会社の支店長をやっていましたが、次第にこの先の人生が、ずっとサラリーマンのままでいいのかという気持ちが強くなり一念発起して99年にハワイに移りました。当初は昔から好きだったアロハシャツをハワイで作れたらいいなという漠然とした考えだけでしたが、なんとか2001年にコナベイハワイを設立することができました。

―ハワイ移住から立ち上げまでいろいろと苦労があったかと思いますが、どのようにしてブランドをスタートし、また軌道に乗せることができたのでしょうか。

とにかくモノ作りに関しては全く素人でしたので、極端な話、ボタンや生地はどこで調達すればいいのか、というリサーチから始めなくてはなりませんでした。イチからのスタート。ただ運のいいことに、調べて1軒目に入った工場にとてもいい腕を持った工場員さんがいて、そこで作ってもらえることになりました。以来、今に至るまで15年間ずっとその工場とお付き合いさせてもらっています。だから苦労したというより、ラッキーだった、という方が大きい。僕は本当に出会いに恵まれたと思っています。

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―アロハシャツ作りにおいて、木内さんが最もこだわっているポイントとは。

やはり製法ですね。そもそも自分でアロハシャツを作りたいと思ったのは着たいと思えるかっこいいアロハシャツがなかったから。いいシャツがないんだったら作ってしまおうといういい加減な気持ちでスタートしましたが、そこから、いろいろな人たちにも支えてもらいながら、「日本でオリジナルの生地を抜染して船で運び、ハワイで縫製する」という1950年代のヴィンテージアロハと同じ製法に至りました。そこが〈コナベイハワイ〉のシャツの一番の特徴です。

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ユナイテッドアローズとの取り組みは「趣味」の延長。

―2007年にはビューティ&ユース ユナイテッドアローズとのコラボレーションもスタートしました。どのようなきっかけだったのでしょうか?

最初は飛び込みでした(笑)。2005年に知り合いを介してバイヤーの鷲頭さんにコンタクトをとり、アロハシャツを見てもらいに東京に行ったんです。その時は2006年シーズンの仕入れがすでに終了していたために話はそこで終わりましたが、先ほどお伝えしたような製法によるメイド・イン・ハワイのシャツは僕にしか作れないという熱いプレゼンに共感していただき、翌年から展開してもらえることになりました。

―今季も店頭に並ぶダブルネームのシャツ、木内さんが思うその魅力とは。

ユナイテッドアローズさんとのプロジェクトは、まず数あるヴィンテージのアロハシャツからバイヤーさんと一緒に柄を選び、そこから色を一旦なくしてまっさらにしてから色をつけていきます。通常はオリジナルのヴィンテージアロハシャツが2配色しかなかったらそれ以上は作れない。でも僕の頭の中には何百通りもイメージがあるので、作る柄さえ選んでもらえればよりユナイテッドアローズさんのテイストにあった色のアロハシャツを提供できます。そこがこのダブルネームの何よりの魅力だと思います。土台は70年前のものですが色は僕の今のイメージ。過去と現在の融合といえますね。

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―誰よりも木内さんご自身が楽しんで作られている、ということなんですね。

いやもう、こういう言い方をすると失礼かもしれませんが、ユナイテッドアローズさんには僕の趣味のものを作らせていただけていると思っています。4年半前に直営店ができるまではお店もなかったので、ユナイテッドアローズさんとのコラボレーションこそ僕が練りに練ったものを表現できる場だったんです。初年度は売れなかったと思うんですよ。ところが2年目、3年目と徐々にリピーターの方々も増えていき、そういう人たちのために作ることでクオリティも上がっていきました。シーズンを重ねるごとに自分もレベルアップしていっていると思っています。

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アロハシャツ作りは、ライフスタイルそのもの。

―直営店はあえてワイキキの中心から少し離れた場所で開かれたとうかがっています。場所も含めて店作りで大切にしていることはなんですか?

ワイキキの中心地から20分かけて来てくれるお客様にどれだけ付加価値を与えられるか、ですね。商品を気に入ってもらうのはもちろんですが、多くのリピーターのお客様に、例えばおいしいレストランを紹介したり、自分の撮ったハワイの写真を差し上げたり、買ってもらうためだけに接客するのではなくて自分の持っているスキルやインフォメーションを提供したいと思っています。また、基本的にアロハシャツのクオリティは変わらないですしお店に来てくれる方々の好みもわかっているつもりです。それを崩さないことも大事。今日着ているシャツも8年前にユナイテッドアローズさんと作ったもので、もちろん僕自身が今もかっこいいと思って着ていますが、そう思ってもらえなくなったらいつでもやめる覚悟です。あと、365日開けるということですね。観光地にあるのに今日は店主の都合で休みっていうのはありえない。そこも僕の矜持です。

―ライフスタイルについてもうかがいます。ハワイではどのような一日を過ごされているのでしょうか。

お店にいる時間がほとんどですが、それ以外の時間は、写真がすごく好きなのでフルサイズのプロ機を持ってポートレートや風景を撮っていることが多いです。色彩感覚は僕の仕事でとても大事な要素なので、写真はライフスタイルの中で大きな比重を占めていますね。ハワイでの暮らしは、わかりやすく例えるなら昭和の日本の暮らしに近いものがあります。18時でお店を閉めた後、家に帰る道すがら落ちる夕日を眺めながら「ああ、今日も終わりだよね」って。そういうゆったりとした時間の流れの中で見たり感じられることも、もちろんモノ作りに生きていると思っています。

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―最後に、アロハシャツは木内さんにとってどのような存在ですか?

人生そのものです。以前に伊勢丹メンズ館のトークショーで「この人はハワイに住みながら趣味でアロハシャツを作っている人」と紹介されたことがあるのですが、そう思われるのは僕にとって何よりもうれしいこと。これからもアロハシャツを家業にしていきたいし、お客さんの期待を裏切らないシャツを作り続けたいですね。

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