ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

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  • ルーカス B.B.さんが『マンモス』を通じて伝えたい親子のあり方。
  • 2017.05.25 THURSDAY

突然ですがみなさんは『マンモス』というフリーペーパーを知っていますか? 〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング〉(以下、グリーンレーベル リラクシング)の一部店舗や、日本各地にあるショップで配布しているもので、親子のコミュニケーションにフォーカスした、大人も子供も楽しめる雑誌です。その内容は誌面だけに留まらず、親子で参加できるワークショップを企画したり、年に一度「マンモス・パウワウ」というファミリー向けの野外フェスも開催しています。主催者は雑誌『PAPERSKY(ペーパースカイ)』の編集長としても知られるルーカス B.B.さん。どうして彼は“親と子”という関係に着目してフリーペーパーをつくり、さらにはイベントまで開催するようになったのか? その想いに迫ってみましょう。

Photo:Takahiro Michinaka
Text:Yuichiro Tsuji

本は興味のある場所へいくための魔法のチケット。

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―ルーカスさんは現在、どんな仕事を手掛けられているのか教えてください。

ルーカス B.B.:旅をテーマにした雑誌『ペーパースカイ』と、親子で読めるフリーペーパー『マンモス』の編集をしています。あとはカタログの制作などもしています。自分たちがつくる本では、普段の生活のなかで経験した楽しいことや、みんなの知らないことを上手に、ユニークに伝えたいと思っていて、それを通じて生きることの楽しさやよろこびを感じてもらいたいんです。

−ルーカスさんはもともと『TOKION』という東京のユースカルチャーにフォーカスした雑誌もつくられていましたよね。

ルーカス B.B.:そうですね。『TOKION』は、ぼくが日本に来てはじめてつくった雑誌。当時24歳だったかな? ファッションや音楽、アートなど、日本のクールなカルチャーにスポットを当てて、自分の感じたことを誌面に反映させていました。でも、自分が年齢を重ねるにつれて世代のギャップが生まれ、若い人に向けて雑誌をつくることに違和感を覚えるようになったんです。これじゃあフレッシュな誌面はつくれないな、と。

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―それで方向転換をして、『ペーパースカイ』と『マンモス』を立ち上げたわけですね。

ルーカス B.B.:ぼくは本をつくることが好きだから、それを継続させたかった。だから仕事とプライベートの境界もあまりないですね。休日に散歩をしながら思ったこと、調べ物をしていて思いついたこと、なにげない会話のなかで生まれたこと、それが雑誌作りの材料になっているんです。

―自分の好きなことが仕事に繋がるというのは素敵なことですね。

ルーカス B.B.:本はチケットなんですよ。本を読むことがきっかけになって、色々なことを知れるし、人や場所に興味を持てる。最終的にはその人に会ったり、その場所に訪れたりするでしょう? そこへ行くための魔法のチケットだとぼくは思います。

―ルーカスさんが20年以上も雑誌をつくり続ける原動力。それはやっぱり好奇心なんですか?

ルーカス B.B.:そうですね。編集者には専門的にひとつの物事を探求する人がいれば、多角的に色々なことに興味を持って、いわば新しいことを発見するようになにかを伝える人もいる。どちらかといえば、ぼくは後者のタイプ。変な言い方かもしれないけど、わからないことがあるから雑誌をつくっているのかもしれないです(笑)。おもしろいな、もっと知りたいな、というフレッシュな気持ちを抱きながら雑誌をつくることで、読者とより深くその事柄を共有できると思うんです。

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親子でお互いに触発されるためのきっかけをつくる。

―ルーカスさんが『マンモス』を創刊したのはどうしてなんですか?

ルーカス B.B.:きっかけは友人たちに子供ができたこと。その子たちの未来を考えたときに明るいものにしたかったから、子供たちをサポートするような雑誌をつくりたかったんです。いい子が育てば、いい大人が生まれるでしょう? それで実際に子供を集めて編集会議をしたんですよ。

―子供たちとですか!?

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ルーカス B.B.:そう、子供たちと。いまの『マンモス』は親子に向けたものですが、創刊当時は子供だけに向けたものだったんです。だから子供たちと編集会議をして、誌面づくりに活かしていたんです。すごくアイデアに満ちていて、ぼく自身楽しみながら続けることができました。でもね、発行部数が伸びなかったんですよ。

―そうだったんですね…。

ルーカス B.B.:当時の『マンモス』はフリーペーパーじゃなくて値段のついた雑誌でした。子供のためにつくっているとはいえ、それを買うのはパパやママですよね。だから親子で楽しめる雑誌にしたんです。そうすることで親子のコミュニケーションが生まれるし、“親と子”という関係がより強固なものになるんじゃないかなと思って。家族で食事をしながら『マンモス』に書かれていたことをみんなで話し合う。親が子供に教えたり、逆に子供のアイデアに親が驚かされたり。親子でお互いに触発されるようなコンテンツをつくるようにしたんです。

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―フリーペーパーにしたのは理由があるんですか?

ルーカス B.B.:気軽に手に取ってもらいたかったからです。本屋に行かなくても、家族で買い物をしに行く場所、例えば〈グリーンレーベル リラクシング〉のお店などに置いてもらえれば、ついでに手に取れるから。やはり読まれなければ意味がないですからね。


子供に選択肢を提示することの大切さ。

―『マンモス』の特徴として、「マンモススクール」や「マンモス・パウワウ」というイベントを開催していますよね。

ルーカス B.B.:「マンモススクール」と「マンモス・パウワウ」は、誌面で伝えていることを親子で実体験できる場所のようなものです。本を読むと想像力が働きますが、そこで止めちゃいけない。イマジネーションを膨らませながら体を動かす。そういう体験をすることが子供にとってすごく重要だと思うんです。

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―なるほど。

ルーカス B.B.:あとは親が教えられることも限界がありますよね。例えば楽器を演奏するのが上手でそれを教えることはできても、ほかのことは教えられないとか。もしかしたら自分の子供は楽器以外のことに興味あるかもしれない。だからぼくたちがその選択肢を提示できるように、色々なジャンルのワークショップを開催しているんです。

―〈グリーンレーベル リラクシング〉では“花や植物”にちなんだワークショップを開催していますよね。そのきっかけはなんだったんですか?

ルーカス B.B.:すごく昔の話になるんですが、ぼくの会社でひとつの絵本をつくったんです。『We Are Animals / ぼくたちはどうぶつ』というタイトルで、動物がたくさん出てくる本。そのキャラクターを〈グリーンレーベル リラクシング〉の方が気に入ってくださったようで、一緒にコラボレートしましょうという話になって、アパレルグッズを制作したんですよ。それがきっかけで〈グリーンレーベル リラクシング〉との関係を深めていったんです。

―〈グリーンレーベル リラクシング〉は大人の服はもちろん、子供服も扱っていて、ご家族連れのお客様にも親しまれています。その部分が『マンモス』とも共鳴しますね。

ルーカス B.B.:そうですね、ブランドの提案もナチュラルで、ユナイテッドアローズという会社自体の社会貢献意識が高いと思うんです。共通する部分はすごく多いと思います。さっきも話したように、子供たちに色々な選択肢を提示することが大事だと思うんです。「マンモス・パウワウ」は、親が子供の好きなことを発見できる場所。子供を守るのは親の役目なんですが、守り過ぎて柵をつくってしまうのはよくない。子供の自発性を活かして、色々なことにチャレンジさせて、自分がなにに興味あるのかを知ってもらいたいんです。

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―先日行われた「マンモス・パウワウ2017」では〈グリーンレーベル リラクシング〉を含む、さまざまなブランドや企業がワークショップを開催していて、子供たちが色々なことを経験する姿が印象的でした。

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1回目の開催から今年で10周年を迎える「マンモス・パウワウ2017」。今年は5月13日・14日の2日間に渡って開催されました。初日はあいにくの雨模様でしたが、子供たちにとっては雨も遊び道具のひとつ。傘もささずに遊び回る子供たちの姿が印象的でした。その一方では、大人たちのお手伝いをするたくましい姿もあり、親が子供の成長を噛み締める、いい機会にもなりました。

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さまざまなブランドや企業がワークショップを開催するなか、〈グリーンレーベル リラクシング〉は親子でレイをつくるイベントを実施。パパやママの手を借りながら、一生懸命レイづくりにいそしむ子供たち。これをきっかけに花や植物、そして自然について興味を持って欲しい、そういった想いがこのワークショップには込められています。

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この日のプログラムのなかには、ウクレレワークショップという気になるプログラムもありました。ステージに登場したのはウクレレを手に持った親子。お父さんはミュージシャンですが、男の子ふたりの腕前は相当のものでした。ほかの子供や大人たちに上手な弾き方をレクチャーし、ご満悦の様子。こうして「マンモス・パウワウ」では、大人だけでなく子供も立派な先生となり、色々なことを教えているのです。

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毎年「マンモス・パウワウ」が開催されるのは、富士山麓にある「PICA富士西湖」。せっかくの立地を活かそうと、湖の上でセーリングに挑戦するプログラムも用意されていました。こういった貴重な体験ができるのも、このフェスの醍醐味なのです。さまざまなワークショップを経験している子供たちの姿に、ルーカスさんも自然と笑みがこぼれます。

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夜になり辺りが暗くなると、幻想的なダンスとともにキャンプファイヤーがはじまります。そしてバリ舞踏家の小谷野哲郎さん、絵本作家のわたなべなおかさんによるユニット、hoshifune☆による影絵朗読会が催されました。ひとりの女の子が色々な動物たちと生涯を過ごす「ほしの子」という物語が上映され、ストーリーを通して“言葉の重み”を子供たちに伝えていました。

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言葉は人の心を動かす力を持っている。

―最後に、ルーカスさんが今後『マンモス』を通じて伝えていきたいことはありますか?

ルーカス B.B.:ここ数年、“言葉の重み”についてずっと考えています。なんだか最近、言葉がチープになっているような気がするからです。本来、言葉というものはすごくパワーがあるものだし、歌の歌詞などを聴くと、胸に響いてきたりするでしょう。

―言葉は人と人がコミュニケーションを取る上で、必要不可欠なツールですもんね。

ルーカス B.B.:そうですね。ぼくは本をつくっているから、なおさら言葉というものを大事にしたいし、みんなにもそう思って欲しい。言葉は人の心を動かす力を持っているんです。『マンモス』を通じてその偉大さに気付いてもらえるように、がんばっていこうと思っています。

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