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  • 新年の幸せを呼ぶ! おめでたい門松の物語。
  • 2016.12.28 WEDNESDAY

遠い昔から、お正月を祝うため、1年の幸せを祈るために飾られる門松。その風習はいったいいつ頃から始まったのでしょうか。また、門松にはどんな意味が込められているのでしょうか。今回は、東京で、三代にわたり門松をつくり続ける職人を訪ね、ダイナミックで繊細な門松づくりを間近で見せていただきました。

Photo:Kousuke Matsuki
Text:Noriko Ohba

“年神様”が宿る、依り代としての門松。

お正月の風物詩ともいえる門松。さまざまな店舗やデパートの入り口、家の軒先に飾られているのを見ると、すがすがしい気持ちになり、「あぁ、年が明けたんだな」という実感がわいてきます。

日本では、古く平安時代末期には、門松を立てる風習があったようで、その様子は『徒然草』にも記されています。私たちがお正月に見ている、門松が並ぶ様は…平安時代の貴族も、鎌倉時代の武士も、江戸時代の町民にも馴染みの光景だったということ。古くは中国から伝わったとされる風習ですが、長い間日本でお正月を象徴する光景として親しまれてきたと思うと、迎春の気分もますます高まります。

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さて、門松はなぜ玄関先や建物の入り口に飾るのでしょうか。それにはある理由がありました。昔から、元旦になると“年神様”が山から降りてきて、“新年の幸せ”をもたらすために家々を訪れると言われています。その神様が自分の家にきちんと訪れてくれるよう、また、年神さまを歓迎しています、という気持ちを伝えるためにも、門松を目印変わりに立てているのです。

また、竹の美しさが際立って見える門松ですが、“門松”の名の通り主役はあくまで松。松は、祀る(まつる)や、年神さまを“待つ”の意味につながり、神様が宿る“依り代(よりしろ)”としての役割もあります。さらに最近では、梅の飾りをつけて、慶事のシンボルとして縁起のいい“松竹梅”を表現する門松も増えているのだとか。


縁起ものとしての門松、制作日にもこだわりが。

今回、お話を伺った内山秀三(ひでぞう)さんは、先代が始めた門松づくりを引き継ぎ、84歳の今なお現役の二代目職人。門松の形について尋ねると、「この3本の竹は、家族の姿を象徴しているんだよ。大きな竹が親で、小さな竹が子供。だから、門松には、家内安全を願うという意味があるの」とのこと。

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門松づくりは、その様式について特に決められているわけではなく、職人によって、つくり方はそれぞれ。「だいたい12月10日くらいからつくり始めますが、制作に取りかかるのは大安など暦(こよみ)のいい日を選びます。門松は大切な正月飾りですし、縁起ものだからね」と語るのは、二代目秀三さんの息子で現在三代目として30年以上のキャリアをもつ康雄(やすお)さん。

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飾る時期は、松の内の12月13日〜1月7日の間ですが、25日ごろから飾り始めるのが一般的。以前は、29日は、9=苦に通じると避けられていましたが、最近では29日を“ふ(2)く(9)の日”=福の日としてよしとすることも多いのだとか。

話しながらも、手は休むことなく、土台に竹を固定し出来上がったら、そのまわりに松の木を配置。バランスを見ながら、大きさの異なる松の木をぐるっと4段ほど重ねます。長さを調整し、竹とのバランスを計りながら、1本ずつ松の木を並べていく、真剣な眼差しはまるで華道家のよう。少しずつ門松の美しい形ができあがっていきます。

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的確に松をカットし、わらをぐいぐいと巻きつけ、縄を結んで、手際よく完成へと近づけます。寒空の下での作業ですが、額には、うっすらと汗のあとが。「門松づくりは、かなり体力を使うんだよ」と二代目。

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美しい門松が職人の手によって仕上がるまで。

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どの工程がいちばん大変ですか、と尋ねたところ「最後のこも(わらで編んだすだれ状のもの)を巻く工程ですね。〆の作業だし、ここで美しさが決まるので」と三代目。こもにはさみを入れ、長さを整え、見映えのするよう下部をひろげたら、縄で縛っていきます。仕上がりが美しく、ほどけにくい縄の結び方“えぼ結び”で、しっかりと固定していきます。縄は3周ずつ3か所縛るにも理由があり、門松は縁起もののため、2で割り切れないおめでたい数にしているのだとか。

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毎年、この短期間の間に80個以上の門松づくりが行われています。「毎年、年末は怒濤のような忙しさ。お正月、元旦がきてやっとひと息つくことができます」と二代目。門松の風習は、飾る側だけでなく、彼らのような職人の手によっても守られています。今年のお正月、街で門松を見かけたらその意味や歴史に思いをはせて、ゆっくり鑑賞するのも素敵ですね。

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SPECIAL THANKS 内山鳶工業

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